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2016年11月09日

ベトナム系市民から見たアメリカ大統領選

候補者がアレなのでいつになく注目されているアメリカ大統領選。
もう間もなく結果が出ますが、その結果を見る前に、アメリカ在住の友人たち(主にベトナム系アメリカ市民)の大統領選に関する言動をここ数か月間見てきたので、僕から見た彼らの考えをまとめてみます。

ベトナム系はトランプ派?ヒラリー派?】

在米ベトナム系コミュニティとして統一した意向は形成されておらず、アメリカ社会全体と同様に大きく割れています。


【トランプ派の人々】

かなり多く見受けられます。人数的には多数派かも。
現在アメリカに住む200万人のベトナム系市民の多くは、1975年以降ベトナム共産党政権から逃れて海外に脱出した難民とその家族であり、現在でも旧ベトナム共和国(南ベトナム)の軍・政府関係者がコミュニティの中心的存在となっています。
彼らにとってヒラリーのようなベトナム反戦運動を行っていたリベラルは、アメリカ軍をベトナムから撤退させ、共産主義陣営によるベトナム侵略を加速させた人々、つまり自分たちの祖国を蹂躙した勢力の一部と見なされており、非常に嫌われています。
ベトナムに従軍したアメリカ軍人の間でも、戦後も一部のリベラルによって軍人への誹謗中傷が続いたため、退役軍人アソシエーション(※日本では考えられないくらい強い政治力を持っている)では民主党などのリベラルを嫌う人が多く、保守的な共和党が強い支持を得ています。
また銃規制の面からも民主党を拒否する声を多く聞きます。オバマ政権から始まった銃規制強化は今後ヒラリーによってさらに強化されると予想されますが、規制への反対は国内の銃器・弾薬産業のみならず、普通のアメリカ市民の間でも広まっています。これはもちろんNRAら業界団体が規制を回避するため、高い犯罪発生率の中で市民の自衛手段だけが奪われるのでは、という不安を煽った結果ですが、それだけアメリカ市民にとって銃は身近な、そして切実な問題のようです。現にアメリカでは規制前の駆け込み需要によって銃器の売り上げがアメリカ史上最高を記録しており、僕の友人も規制の対象になりそうなAR-15用30連マガジンや5.56mmNATO弾を大量に買い貯めしていました。
まとめると僕の周りのトランプ支持派は、トランプ本人を支持しているというよりは、ヒラリーと民主党への反対を動機としている人が多いように見受けられます。
またトランプによる不法移民やイスラム教徒への誹謗中傷も、自分たちは正当な移民なので関係なく、むしろ社会が安全になるのなら多少の無茶も構わないといった感じでした。これは現在のアメリカ社会が抱える不安感を如実に表しているでしょう。


【ヒラリー派の人々】

ベトナム系でも若い世代の間ではヒラリー支持、と言うか反トランプ派が多く居ます。
理由は言わずもがな、あれほど下品で浅はかな人間をアメリカ合衆国大統領にするのはアメリカの恥であり、そもそもトランプは大統領候補として不適格だという見方です。彼のデマゴーグとしか言いようのない扇動的な言動は既にアメリア国内に大きな分裂をもたらしており、その上万が一大統領になろうものなら、アメリカの外交・内政は大混乱に陥る事が必至であるとしています。
また保守層から史上最悪と非難される民主党オバマ政権ですが、実際はこれまでになく失業率が低下しており、経済も一時期よりは回復。多くの犠牲者を出したアフガニスタン、イラク戦争からの撤退を実現するなど、(ヒラリー、トランプが嫌われ過ぎているので)オバマ大統領に対する前向きな評価は任期満了が近付くにつれて高まっています。ヒラリーも基本的にはオバマ政権の方針を引き継ぐと見られており、このまま経済を安定させる事に期待する人々は民主党政権の存続を望んでいます。
銃規制に関しても、これだけ銃犯罪や無差別テロ、子供による暴発事故が頻発している中で、誰でも弾薬を無制限に買え、犯罪歴さえなければ何丁でも銃を所有できる状況は、とても自衛のための必要最小限の武装とは言えず、規制反対は銃器産業と政治家の既得権益の保護でしかないという声も根強くあります。
まとめると、ヒラリー支持者は、まずトランプの人間性を大いに疑問視しており、トランプが大統領になった場合のアメリカの混乱と破滅を恐れている訳です。トランプ同様、ヒラリー本人も嫌われている事には変わりないですが、少なくともトランプよりはマシ、というのが穏健なアメリカ市民の見方のようです。



さて、この記事を書いている時点(日本時間11/9 13:00)での出口調査ではトランプ優勢。
マジかー。悪い冗談が現実になっちまうかも。

※追記
日本時間11/9 18:00現在、トランプ当選確実。あ~あ。

He Will Make America America Again.





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