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2016年11月24日

モデルとM

銃器趣味をやっていると、『M◯◯』や『Model ◯◯』という風に、銃器の名前にMやModelという文字がついているのをよく目にします。そして僕は、この二つの言葉の使い分けに長年違和感を感じてきました。では、MとModelはそれぞれ何を意味しているのでしょうか?
以下、僕の見解です。

M: 米軍モデルナンバー

『M』が用いられる最も代表的な例が、アメリカ軍における装備品型番=モデルナンバー(Model number)だと思います。このモデルナンバーは大文字のMとアラビア数字で表記され、またその装備の種別、口径などが列記されたものが米軍における公式な取り扱い名称になります。
例) RIFLE, CALIBER .30, M1903 (便宜的に略して『M1903 Rifle』とも表記される)

ここで注意が必要なのは、モデルナンバーのMはそもそもの由来は『モデル(Model)』の略であるものの、書類上用いられるのはあくまで『M』一文字であって、モデルナンバーを『Model』と表記することはない、という事です。つまりアメリカ軍においてMはモデルナンバーを示す単独の符号として扱われているのです。
しかしインターネットを見ていると、各国のガンマニアの間でMという記号とModelという単語の使い分けは曖昧であり、『Springfield Model 1903』のように、本来の米軍モデルナンバーとかけ離れた表記がされているのをよく見かけます。これらはあくまでマニア間で用いられる通称であり、その銃を開発・使用した米軍における名称でなない事に留意すべきだと思います。


Model: 民間メーカーの製品名

一方、民間メーカーでは、製品名にModelが付いている事が多々あります。
例) Smith & Wesson Model 19

日本ではこれを『スミス&ウェッソン M19』といった感じに表記するのを多く見かけます。これは上記の米軍モデルナンバーのModelがMに略された例に倣っての事だと思います。
しかし僕の知る限り、実際にはスミス&ウェッソンやその他大手銃器メーカーが自社の製品Modelの略としてMを使う事はありません。Modelは略される事なく『Model ◯◯』となるか、もしくはModel自体を省いて番号のみで表記されるのかのどちらかなのです。

モデルとM
Smith & Wesson商品ページより

モデルとM
Beretta USA Corp商品ページより

実は米軍以外でModelをMと略すのは日本だけの慣習であり、もっと言うと、これは日本のトイガンメーカーが始めた実銃とは無関係な呼び方だったりします。
(※ただし元々製品名がModelではなくM◯◯だったり、コルトM16やベレッタM9シリーズのように、メーカー側が軍のモデルナンバーを逆に自社製品名に取り入れた場合はまた別)


米軍における『Model』

まず、アメリカ軍が民間メーカーの製品を採用する際は、その装備品に軍が独自にモデルナンバーを付与するため、制式採用後はメーカー側の製品名は一切使用されません。なので製品名にModelとついていても、モデルナンバーは(Modelの略としてではなく符号として)『M◯◯』となります。
例) Remington Model 700 → RIFLE, 7.62MM, M40, SNIPER

一方で米軍は、必要に応じて連邦政府に制式採用されていない民間製品を臨時に購入して使用する事も多々あります。この場合、その物品には制式装備を示す『M』のモデルナンバーは付与されず、メーカーの製品名がそのまま軍での公式な取り扱い名称になります。(その為『Model』はそのまま引き継がれ、『M◯◯』にはならない)
例) Smith & Wesson Model 52 → PISTOL, CALIBER .38, AUTOMATIC: SMITH AND WESSON, MODEL 52

しかし取り扱い名称の文字数が多いと書面上煩わしいため、名称(メーカー製品名)を略して表記する事があります。この場合、米軍ではModelを『M』と略す場合と、『MOD』と略す場合の両方があります。ただし、その使い分けに規則性はあまり見られず、単に書類上の表記ゆれである可能性は否めません。
(以下、アメリカ海兵隊 「rpt2030 Marine Corps Nomenclature File Listing by NSN (Complete) (2008)」より)

Mと略され例)
Smith & Wesson Model 10 → REV 38CAL S&W M10
Smith & Wesson Model 52 → PISTOL 38CAL S&W M52
Smith & Wesson Model 60 → PISTOL 38CAL S&W M60
Winchester Model 70 → RIFLE 30/06 WIN M70
※あくまでModelの略としてMが使われているだけで、制式モデルナンバーではない

MODと略された例)
Smith & Wesson Model 459 → PISTOL 9MM S&W MOD 459
Smith & Wesson Model 469 → PISTOL 9MM S&W MOD 469
Beretta Model 92SBF → PISTOL 9MM BERETTA MOD 92SBF
Colt AR-15 Model 606 → RIFLE 5.56MM AR15 COLT MOD 06
Colt AR-15 Model 605B → SUBMACHGUN 5.56MM MOD05B COLT
Colt AR-15 Model 607 → SUBMACHGUN 5.56MM MOD07 COLT
Colt AR-15 Model 608 → SUBMACHGUN 5.56MM MOD08 COLT
Colt M16A1 Model 653 → CARBINE 5.56MM COLT MOD653
Colt M16A2 Model 727 → CARBINE 5.56MM M16A2* MOD 727
Colt M16A2 Model 733 → CARBINE 5.56MM M16A2* MOD 733
※Colt M16A2は米軍モデルナンバー『M16A2ライフル』から逆採用された名称だが、あくまでメーカー製品名であって、米軍がModel 727 / 733に対しM16A2というモデルナンバーを与えたわけではない


まとめ

米軍で制式採用された物は必ず『M』のモデルナンバーになる民間メーカー製品を米軍が採用した場合であっても『Model』は用いない。
・民間メーカーは基本的に『Model』を略さない。もしくは『Model』を省いて数字のみで型式を表記する。
・米軍が民間メーカー製品を(制式採用ではなく)臨時購入したものは『Model』のままで、モデルナンバーは与えられない。ただしModelを『M』もしくは『MOD』と略して表記する場合がある。

以上、最後がちょっとややこしいですが、MとModelのオフィシャルな使い分けはこんな感じだと思います。




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Posted by 森泉大河 at 00:30│Comments(0)銃器【アメリカ】
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