カテゴリ
News! (90)
銃器 (60)
映画 (20)
音楽 (16)
言論 (32)
民生 (3)
阮朝 (2)
人物 (33)
式典 (3)
BB/歩兵 (29)
ND/空挺 (47)
KB/騎兵 (8)
PB/砲兵 (1)
TT/通信 (3)
QV/輸送 (2)
HQ/海軍 (9)
KQ/空軍 (10)
QY/衛生 (2)
QC/軍警 (6)
軍犬隊 (1)
FULRO (11)
デガ (25)
モン族 (16)
ヌン族 (9)
本土軍 (2)
コマンド (10)
SDECE (3)
1914-1918 (3)
1918-1939 (8)
1939-1945 (22)
1945-1954 (88)
1954-1975 (464)
1975-1989 (19)

2022年12月18日

偵察チームとリアクションフォース

ベトナム戦争期、アメリカ陸軍特殊部隊”グリーンベレー”は常にベトナム軍付きのアドバイザーという立場であり、アメリカ軍人のみで作戦を行うことはほぼ皆無でした。
彼らグリーンベレーが主導する作戦として代表的なものが、ベトナム軍特殊部隊やCIDGで構成されたコマンド部隊の現場指揮官としてグリーンベレー隊員が付く米越合同の『特殊偵察計画(Special reconnaissance project)』です。
この特殊偵察計画には以下の4組織があり、それぞれ細部は異なりますが、いずれも『偵察チーム』と『リアクションフォース』から構成される点は共通していました。(※括弧内は作戦を主導する米軍部隊)


・プロジェクト・デルタ (B-52 / 5th SFGA)
プロジェクト・シグマ (B-56 / 5th SFGA)→1967年OP-35に編入
プロジェクト・オメガ (B-50 / 5th SFGA)1967年OP-35に編入
プロジェクト・ガンマ (B-57 / 5th SFGA)
・OP-35 (SOG-35 / MACV-SOG)

偵察チーム(Reconnaissance Team (RT))は読んで字のごとく、偵察を専門とする小規模なチームで、各チームのチームリーダーをグリーンベレー隊員が務めました。

リアクションフォース(Reaction Force)は中隊以上の規模で構成された軽歩兵部隊であり、偵察ではなく待ち伏せ攻撃や偵察チームへの救援など、積極的な攻撃を任務としました。CIDG兵で構成されたリアクションフォースはマイクフォースの一部とされます。
なおReaction Forceを直訳すると『反動部隊』等になりますが、日本語的にはしっくりこないので、この記事では英語のまま『リアクションフォース』と書いています。

以下、各特殊偵察計画における偵察チームとリアクションフォースを見ていきます。

【プロジェクト・デルタ】

偵察チーム:デルタ偵察チーム
グリーンベレー4名、ベトナム陸軍特殊部隊(LLĐB)6名で構成されたチームが12個。

リアクションフォース:LLĐB第91/81空挺コマンド大隊
LLĐB128名で構成された中隊が6個。

デルタ偵察チームと91空挺コマンド大隊は1968年5月に統合され、第81空挺コマンド大隊へと改称される。その後、1970年にプロジェクト・デルタが終了するとLLĐBも解散したが81空挺コマンド大隊はLLĐBの後継組織たる81空挺コマンド群へと拡大する。(過去記事『空挺コマンド』参照)

偵察チームとリアクションフォース
偵察チームとリアクションフォース



【プロジェクト・シグマ/プロジェクト・オメガ】

偵察チーム:シグマ偵察チーム/オメガ偵察チーム
グリーンベレー2名、CIDG4名で構成されたチームが16個。

リアクションフォース:第2軍団マイクフォース
グリーンベレー3名、CIDG150名で構成された中隊が3個。

※プロジェクト・シグマとオメガは担当地域が異なるだけで、ほぼ同じ任務・構成でした。また、この2部隊は1967年にMACV-SOG主導のOP-35に編入され、CCSとして統合されます。

偵察チームとリアクションフォース
偵察チームとリアクションフォース
 

【プロジェクト・ガンマ】

プロジェクト・ガンマはデルタ、シグマ、オメガに続くグリーンベレー主導の特殊偵察計画の一つですが、公式な資料は何一つ公表されていません。
1969年、プロジェクト・ガンマ担当のグリーンベレーB-57隊員らが、部隊内のあるベトナム軍LLĐB将校を敵側に内通しているとして秘密裏に処刑した一件が『グリーンベレー事件』としてマスコミに報道され、米国政府を巻き込んだスキャンダルに発展したため、米軍はいまだにプロジェクト・ガンマの活動内容を機密にしたままです
(機密にされるとなおさら憶測を呼ぶもので、ガンマについてはかなり非合法な活動をしていたと噂されていますが、越境工作や拉致暗殺の類は他の部隊もやってたので、僕はガンマだけが特別な存在だったとは思っていません)

偵察チームとリアクションフォース


【OP-35】

偵察チーム:
・1964-1968: スパイクチーム(ST)・・・グリーンベレー2名、雷虎(ベトナム軍NKTまたはCIDG)4名で構成。
・1968-1970: 偵察チーム(RT)・・・グリーンベレー3名、雷虎9名で構成。
チーム数はCCN所属が49個、CCCが30個、CCSが24個(時期により変動)

リアクションフォース:ハチェットフォース(Hatchet Force)中隊またはエクスプロイテーションフォース(Exploitation Force)中隊
CIDG約100名で構成された中隊がCCNに3個、CCC4個、CCS3個。

偵察チームとリアクションフォース 偵察チームとリアクションフォース 偵察チームとリアクションフォース

偵察チームとリアクションフォース





同じカテゴリー(【ベトナム共和国軍】)の記事画像
ベトナム戦争末期の海兵隊
VIPの謎服
ベトナム軍衛生士官候補生の階級章
左側テープ
ベトナム海兵隊の歴代戦闘服
VMSっぽい服
同じカテゴリー(【ベトナム共和国軍】)の記事
 ベトナム戦争末期の海兵隊 (2024-04-23 20:15)
 VIPの謎服 (2024-04-21 08:32)
 ベトナム軍衛生士官候補生の階級章 (2024-04-11 21:21)
 4か月ぶりの撮影会 (2024-04-01 20:28)
 左側テープ (2024-03-17 09:35)
 ベトナム海兵隊の歴代戦闘服 (2024-03-06 22:29)

※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。