2015年03月23日
ライド・ザ・サンダー
来る3月27日(金)、待ちに待った映画"ライド・ザ・サンダー"が(米国で)公開となります!
この映画は1972年、クアンチの戦いを勝利に導いたベトナム共和国海兵隊レ・バ・ビン中佐の日記に基づく物語です。
"Ride The Thunder" - A Story Of Honor and Triumph
監督: Fred Koster
原作 "Ride the Thunder" Richard Botkin著
【あらすじ】
1972年、クアンチ省。レ・バ・ビン中佐が指揮するベトナム共和国軍海兵師団第3海兵大隊"海狼"は、後にイースター攻勢と呼ばれる北ベトナム軍の大攻勢を受け、戦線は崩壊寸前であった。第3海兵大隊が守備するドンハ橋は交通の要衝であり、ここを奪われれば敵機甲部隊の大規模な進撃を許す事となり、味方の壊滅は必至であった。この絶望的な状況に対し、大隊長ビン中佐は大隊付アメリカ海兵隊アドバイザーのリプリー大尉と共に決死の戦いを挑む・・・
クアンチの勝利によって英雄となった二人であったが、戦後二人を待ち受けていた運命は過酷であった。ビン中佐は共産政権に逮捕され、12年間もの長きに渡って強制収容所に投獄された。またリプリー大尉も帰国後、他の帰還兵と同様アメリカ国内で誹謗中傷に合っていた。ビンもリプリーも、祖国そして自らの軍務に恥ずべき点は無いと信じていたが、それを受け入れる者は居なかった。
あれから40年。長きに渡って自らの思いを封印してきた二人が今、あの戦争の真実を語る・・・。


実際のレ・バ・ビン(Lê Bá Bình)中佐とジョン・リプリー(John Ripley)大尉

ビン中佐役を演じるベトナム系アメリカ人俳優ジョセフ・ヒュー(Joseph Hieu)は、これまでもベトナム戦争を描いた作品に多数出演するハリウッドの名脇役で、今回が初の映画主演作となります。以下のタイトルを見れば「あ、あの人か!」と思い当たるはず。
【ベトナム戦争に纏わる主な出演作品】
・ワンス・アンド・フォーエバー
・劇場版トワイライト・ゾーン
・84☆チャーリー・モピック
・ハノイ・ヒルトン
・チャック・ノリスの 地獄のヒーロー2
・ランボー/怒りの脱出

また、この作品の共同プロデューサーを務めるキューチン(Kieu-Chinh)は、ベトナムをはじめハリウッド、中国、インド映画などにも出演する伝説的なベトナム系アメリカ人女優です。
【主な出演作品】
・M★A★S★H マッシュ
・Dynasty
・China Beach
・The Joy Luck Club
・Journey From the Fall
・21
・NCIS: Los Angeles
これまで『ベトナム戦争の真実』と銘打った映画は戦後アメリカ・ベトナム双方で多数制作されてきましたが、ベトナム戦争で20万人を超す戦死者を出し、その後も厳しい人生を強いられたベトナム共和国軍兵士たちが顧みられた事は、今まで一度たりともありませんでした。
僕は実際に、ベトナム共和国軍将校として北の侵略から祖国を守るために戦い、地雷で片足を失い、再教育キャンプという名の強制収容所に送られ、命かながらベトナムを脱出して日本に辿り着いた方から、その半生をお聞きしました。また現代ではインターネットを介して、アメリカやオーストラリアで生活されている元兵士や、現在ベトナムで生活している元兵士のご子息からも当時のお話を聞く事が出来る時代になりました。そこで僕が感じたことは、(そもそも言論の自由が無い現・社会主義ベトナムの主張は当然として)我々日本人が報道や書籍、映画などから得た情報によって抱いているベトナム戦争のイメージと、実際に彼らが経験した歴史とでは大きく差があるという事でした。
分かりやすい例として、アメリカでは反戦運動とその後の帰還兵の問題から、社会全体がベトナム戦争に対し強い罪悪感を抱いており、ベトナム共和国および米軍参戦の正当性とを認めること=タカ派・戦争賛美と見なされる風潮があります。これは戦後ハリウッド製ベトナム戦争映画に幾度も描かれた、アメリカ兵による戦争犯罪と、ベトナム共和国軍への悪意ある描写にも表れています。つまりアメリカの大衆はそもそも『あの戦争は間違っていた』、『アメリカ兵も犠牲者だ』、『南ベトナム人の自業自得』というストーリーを求めているため、映画もそう作らざるを得ないという事情があるように見受けられます。恐らく日本でもこの見方が支配的なのではないでしょうか。少なくとも『アメリカは自由と民主主義のために戦った』なんて言ったらバカとしか思われないでしょうし。
しかし現在、アメリカには200万人が、そのほかの国にも数十万人のベトナム共和国系移民の方々が生活しています。彼らは戦後40年間、祖国ベトナムを追われた悲しみに加えて、一部の退役軍人を除いて同盟国であるはずのアメリカ人にすら自分達のアイデンティティーを理解されずに過ごしてきました。その無念を想うと、僕は言葉に詰まります。
そんな中、終戦40周年という節目の年に公開されるこの『ライド・ザ・サンダー』は、これまで『大国の自己嫌悪』と『社会主義国のプロパガンダ』によって覆い隠され、無視され続けてきた敗戦国の人々にとっての一つの真実を物語る作品なのではないでしょうか。これは僕にとっても、これまでのベトナム趣味人生の中で最も見る価値のある映画になると思っています。(軍装再現などはこの際どうでもいい)
ただ一言願わくば・・・
日本でも公開してよ~!!!
(米国内でも少数の劇場での上映なので、日本語版DVDすら絶望的。米国版DVDを取り寄せるしかないな・・・)
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