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2021年12月22日

最近作った物

※2021年12月23日更新
※2021年12月25日更新

ダミー.45ACP弾薬 (M1911ボール風)


M1911ピストル用のウェスタンガンベルトを注文したので、ガンベルトが届く前だけど、ベルトに挿すダミーのM1911ボール(米軍制式.45ACP FMJ弾)を24発分作成。
ケースは使用済みの米軍払い下げ(たぶんM1911ボール)をサンポール洗浄し、ピカールで研磨。
ブレットは個人製作の鉛キャスト製を購入し、自分で銅色に塗装したものです。
送料含め総額1700円弱で揃っちゃいました。こんなに安く済むとは自分でもオドロキ!


クメール国軍(FANK)陸軍第7歩兵旅団群 プラスチックパウチ部隊章


当時存在した、紙に印刷された部隊章を透明プラスチックシート(※)でパウチ加工したものの再現です。
実物はシルクスクリーン印刷ですが、僕のはコピー用紙にインクジェットプリンターで印刷したお手軽仕様です。
裏面に安全ピンがついており、普通のSSIと同じように着用します。

※塩化ビニルのシートだと溶けやす過ぎてうまくホットシーラーでパウチできなかったので、この作例ではポリカーボネイトポリプロピレン製シートを使っています。

パウチ部隊章の使用例。ロン・ノル大統領の閲兵を受ける第7歩兵旅団群 [カンボジア, 1973年11月]



アメリカ軍MACVハンガーバッジ


こちらは自分用ではなく、友人にプレゼントするため作りました。
刺繍パッチを塩化ビニルシートと牛皮でパウチ(ミシン縫い)したタイプです。

ちなみに中のMACVパッチは実物です。
もう10年近く前だと思いますが、今は亡き友人に、知る人ぞ知る個人経営の小さな古着屋を紹介してもらいました。その店の商品はビンテージのアメカジがメインなんですが、同時に大戦~ベトナム期の米軍払い下げ衣類・個人装備・徽章も乱雑に置かれています。しかも店主的にはアメカジしか興味ないので、それらの軍装品は捨て値。
僕は個人装備を買ったついでに、まだ紐で束ねられたデッドストックの米軍MACVパッチが置いてあったので、「これ1枚ください」と言いました。すると店主のおじさんが「紐を解くの面倒くさいから全部あげる」と言って、一束(十数枚)丸ごと1枚分の値段で売ってくれた、と言うか押し付けられました。その中の1枚が今回使用したパッチです。
あのおじさんも大雑把だけど、こんな腐るほど大量にパッチを作りまくって余らせる米軍も、どういう計算でパッチを発注してるんだか謎です。
  


2019年11月10日

アドバイザーのローカルメイドパッチ

今回は珍しく米軍のインシグニアのお話です。

以下のパッチは、マニアの間でもしばしば「南ベトナム軍のもの」と誤解されているのですが、実際にはベトナム軍付き米軍アドバイザーのローカルメイドパッチでした。


トニー・ザ・タイガー

トニー・ザ・タイガー(トラのトニー)」は、1960年代前半にベトナムに派遣された米軍アドバイザー用として製作したとされる、一連のローカルメイドパッチです。
中でも特に有名なのが、ベトナム陸軍特殊部隊(LLĐB)付きのアドバイザー(グリーンベレー)向けのものですが、戦後、このLLĐB付きアドバイザーのパッチばかりがフェイク/レプリカとして繰り返し生産されたので、このパッチはいつしかアドバイザー向けであったことが忘れられ、「LLĐBの」ローカルメイドパッチと誤解されるようになりました。

写真: デニス・キム氏コレクション


ベトナム軍LLĐB部隊章


たしかに緑色の背景とパラシュート、虎のデザインはLLĐBの部隊章と酷似していますが、実はこれと同様のデザインのパッチはLLĐB付き(グリーンベレー)のみならず、空挺旅団付き(AT-162)やレンジャー部隊付き(AT-77)向けにも制作されていました。

写真: デニス・キム氏コレクション

元ベトナム軍レンジャー付きアドバイザー(MACV AT-77)で、なおかつ著名なミリタリーインシグニアコレクター/戦史研究家のデニス・キム米陸軍退役大尉によると、このパッチが生まれた経緯には2つの説があるそうです。

一つ目は、ある日3人の米軍アドバイザーが朝食を採りながら、自分たちのオリジナルパッチを作ろうという話になり、デザインを考え始めたところ、たまたま自分たちの食べていたケロッグ・コーンフロスティ(Frosted Flakes)の箱が目に留まり、これをそのまま街の刺繍屋に持って行って、部隊名の入っていないローカルメイドパッチを25枚作製させた(この時点でLLĐB部隊章のデザインが参考にされていた)。そして完成後、そのパッチにはさらにその3人各々が担当していたLLĐB、空挺、レンジャーの文字が付け加えられた、というものです。これはちょっと話が出来過ぎている気もしますね。

もう一つは、これらはアドバイザー自身がデザイン・発注したものでは無く、現地の刺繍屋米兵の興味を引くために、アメリカ人に馴染み深いキャラクターであるケロッグのトニー・ザ・タイガー(Tony the Tiger)」を取り入れてデザイン、販売したという説です。

どちらが真実なのか確かめる術はありませんが、少なくとも以下の2点は確かなようです。
・全体のデザインはLLĐBの部隊章がベースである(つまり1963年以降にデザインされた)が、空挺旅団やレンジャー部隊付きアドバイザー向けにも制作・販売されていた
・トラの顔は米国ケロッグ社のコーンフロスティのマスコットキャラクター「トニー・ザ・タイガー」である

トニー・ザ・タイガーの新旧デザイン

このパッチに使われたトニーのデザインは1951年に考案された古いタイプもので、その後1980年代にデザインが一新され現在に至ります。僕も現在のトニーは子供の頃からよく知っていましたが、このパッチのトラが、昔のトニーの顔だった事は、キム氏から聞くまで全く分かりませんでした。当然ケロッグ社も、ベトナム戦争で自社マスコットが使用されていた事など関知していません。



AT-86

ベトナム戦争当時、米軍MACVには100個以上のベトナム軍付きAT(アドバイザリーチーム)が存在し、各々のATが現地でローカルメイドパッチを発注・着用していたので、その種類・バリエーションは膨大なものになりますが、その中でもちょっと特別なパッチをご紹介します。

写真:David Levesque氏コレクション

こちらはシルクスクリーンプリント製かつアジア的な龍があしらわれたデザインであるため、一見するとベトナム共和国軍の何かの部隊章のように見えますが、実は米軍MACV AT-86 (アドバイザリーチーム 86)のローカルメイドパッチだそうです。
AT-86はロンアン省タンチュー県のベトナム地方軍・義勇軍担当アドバイザリーチームで、定員はたった5名(+ベトナム人通訳1名)の小さなチームでした。詳細は米軍ベテランのコミュニティーサイトTogether We Served内のMACV Advisory Team 86をご参照ください。
シルクスクリーンプリント製法はその名の通り、色毎にシルクスクリーンの版を作成して布に印刷する大量生産のための製法なので、通常ATのような小規模な部隊の部隊章には用いられない(手刺繍製が普通である)のですが、なぜかAT-86にはシルクスクリーンプリント製が存在しています。
一応、これが戦後に作られたフェイク品である可能性も疑うべきではあるのですが、それにしては出来が良すぎるし、そもそもコストが高くつく上に、AT用としては不自然なシルクスクリーンでわざわざフェイクを作る意味もありません。現に巷で(実物として)取引されているフェイク品は100%手刺繍製です。

※ベトナム人は昔から、こういうローカルメイドパッチを外国のマニアが高い金で買ってくれる事をよく知っていますから、実物と偽ったフェイク品を大量に作りまくっています。ただ、昔はフェイクであっても、実物に似せようと頑張っていたのでそれなりに出来が良かったのですが、近年は業者が出来の悪いフェイクをまた更に劣化コピーする事を繰り返しており、また買う側のマニアも、実物がどんなものかを知らない世代に変わってしまったので、その低レベルなコピー品を実物と信じて買い求めるため、今じゃフェイクともレプリカとも呼べないお土産品レベルの物ばかりが市場にあふれています。トホホ・・・


おまけ

アドバイザーとは関係ないけど、欧米人の間でかなり誤解が広がってるのがこの写真



「ベトコン女性兵士」だそうです。

アジア人の女が武器持ってれば何でもベトコンかい(笑)

まぁ、これはいくらなんでもド素人(と言うか非常識)な人たちが言ってる事でして、ちょっと知識がある人は、これがベトナム人ではない事など一目瞭然なので、こうツッコみます。

「違うよ、これは日本赤軍の重信房子というテロリストだ。1972年にレバノンで撮影された写真だよ。」

この重信房子説はネット上でかなり拡散されていて、最初に紹介したキム大尉ですら、僕が違いますよと説明するまで、この写真を重信だと本気でじていました。
欧米人は、セーラー服が日本の女学生の制服であることを何となくは知っていますが、それが高校まで、という事はほとんど知らないので、これを大学時代の重信の写真と言われれば、何の疑いもなく信じてしまうようです。
にしたって、普通に考えて、テロリストが学生服着たまま外国でテロ活動するかよ(笑)

この写真の正体は、何の事は無い、1987年のTVドラマ「少女コマンドーIZUMI」の主役 五十嵐いづみさんです。


五十嵐さんも、まさか自分の写真が30年も経ってからベトコンだの日本赤軍だの言われ世界中に拡散する事になるなんて思いもよらなかったでしょうね。フェイク情報が簡単に拡散する現代のネット社会の典型例ですわ。
この件は、たまたま僕らが日本人だったから間違いに気づいて笑い種になりましたが、そうではない他の国に関する事柄については、僕ら自身も(個人レベルあるいは特定の勢力によって意図的に流布された)偽情報を既に信じてしまっている可能性は常にあります。
僕も先日、米軍ベテラン向け情報誌に掲載されていた、ベトナム戦争中に行われたというある捕虜救出作戦の記事をがんばって翻訳していましたが、あとになって、それがその雑誌のコラム欄に掲載されていたジョークネタ(全部嘘)だったと知りました。危うく自信満々にブログで発表する所でしたよ。危ない、危ない。
なので僕のブログの内容も、全部鵜呑みにはしないで下さいね。後で間違いに気づいて訂正する事なんて、しょっちゅうありますから。