2020年04月19日
ベトナム軍のERDL迷彩
米陸軍ERDL(技術研究開発研究所)が1948年に開発した野戦服用迷彩パターン、通称『ERDL迷彩/リーフパターン』は、開発当時は制式採用される事なくお蔵入りとなりましたが、その後もERDLによって迷彩効果の研究・改良は進められ、最初の発表から18年後の1966年、ついに改良型のERDL迷彩(通称グリーンリーフ)がTCU(熱帯戦闘服)用迷彩として正式に導入されます。
また米軍はこの1966年式ERDL迷彩(グリーンリーフ)の生地を自軍のTCUだけでなく、同盟国であるベトナム共和国にも援助物資として大量に供与します。そしてこの生地をベトナムで縫製した戦闘服(裁断は従来の2ポケット/ベトナム海兵隊型)は1967年以降、ベトナム共和国軍の陸軍レンジャー部隊・空挺部隊・特殊部隊・海兵隊・海軍フロッグマン部隊など迷彩服が支給されるエリート部隊共通の標準迷彩服となり、1970年代初頭まで支給されました。
なのでベトナム軍リエナクターにとって、2ポケット・グリーンリーフ迷彩作戦服は何着持っていても困らない使い勝手の良い服であり、うちには現在、計4着のリプロがあります。

その1 東京ファントム製 空挺師団仕様
最後のヒューストン改造は、ファントム製が売り切れとなり、それから十数年後にEA製リプロが発売されるまでの長い間まともなリプロが存在した無かったので、やむを得ず古着屋で買ったヒューストン製のTCU風ジャケット(実在しない仕様なので『レプリカ』ではない)を、ベトナム軍2ポケット作戦服風に自分で改造したものです。
このTCUスタイルからの改造は、ポケットを作り直したりボタンホールを開けたりと工程が多く、決してお手軽とは言い難いです。

またTCUには背中側に補強の布が付いていますが、これを取り除くには、袖や襟などの繋ぎ目を一度全て外して再度縫い直す必要があります。この作業は僕には難易度が高過ぎるため、そのままにしています。
今考えれば、TCUをベースにすのであれば、無理やり官給品スタイルにするのではなく、当時一部の将校の間で着用されていた、テーラーメイドの空挺型(隠しボタン)作戦服を再現した方が良かった気がします。

テーラー製空挺型迷彩服の例(空挺師団将校)
おまけ:1967年式ERDL迷彩(ブラウンリーフ)
1966年式ERDL迷彩(グリーンリーフ)の改良型として翌年に登場した1967年式ERDL迷彩(ブラウンリーフ)の生地も、ベトナムに供与されていたようですが、その使用例は極めて僅かです。

ブラウンリーフ生地の使用例
空挺師団参謀長兼司令官付き作戦補佐官グエン・チョン・バオ大佐(戦死後准将に昇進)
ベトナム軍は1960年代後半、米国のERDL迷彩をベースに独自の配色へと変更した国産迷彩(通称レンジャーエアボーン/パステルリーフ)を開発し、これを新たな標準迷彩として1968年から支給を開始しました。そのため、ほぼ同時期に登場したブラウンリーフ迷彩がベトナム軍に正式に導入される事はありませんでした。なので写真にあるようなブラウンリーフの使用例は、ベトナム軍側が意図して発注したものではなく、たまたま米国からの援助物資としてグリーンリーフと一緒くたに送られてきただけだと僕は考えています。
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