2017年11月07日
ベトナム製リプロの憂鬱
前回の記事『2ポケット作戦服の裁断とカーキ作戦服』で紹介したベトナム製リプロにもうひと手間かけてディテールアップ、と言うか悪あがき。
前回、この服は肩部分は迷彩服型のように肩当とエポレットの両方を備えており、カーキ作戦服としては不自然と書きましたが、変な部分はそれだけではありません。本来、2ポケット作戦服は首元まで襟を閉じられるよう第1ボタンとボタンホールが備わっているのですが、このリプロにはそれがありません。1970年代に普及する4ポケット作戦服からは第1ボタンが省略されるようになりますが、2ポケットはどのタイプでも必ずと言っていいほど第1ボタンを備えています。(改めて写真を見直したところ、無いタイプも結構見られました。)なので昨日、自分で穴かがり所(ボタンホール加工専門業者)にこの服を持ち込み持ち込み、ボタンホールを作ってもらいました。単発だと工賃は結構高くて、一カ所開けただけなのに540円しました。
しかし、ボタンホールは単に加工すれば簡単に解決できる事なので大した問題ではありません。この服の本当の恐ろしさは下の写真の中に隠されています・・・。

おわかりいただけただろうか・・・・・・。
そう、第2ボタン以降、前合わせのボタンホールが4つ全て縦に開けられているのだ・・・。これはベトナムで買った時点で最初からこうなっていました。無駄に肩当・エポレット付けてそれっぽい雰囲気出そうとしてるくせに、なんでこの部分を間違える・・・。
なので当初は前合わせの生地の端を内側に織り込んで縦ボタンホールを隠し、新たに横穴を4つ開けようと考えていましたが、いざ工程を考えてみると、前合わせは襟の形に直結する部分なので、下手にいじれないという事が分かり、結局その案は断念せざるを得ませんでした。
したがって第1ボタンを追加するにあたっては、ボタンホールの向きを正しい横向きにするか、他の穴に合わせて縦にするか悩みました。第1ボタンも縦にしてしまえば、一つだけ向きが違うという違和感は無いですが、襟はボタンホールが一番目立つところなので、そこが縦なのは恥ずかし過ぎます。結局、第2~第4ボタンは、ボタンを閉じてしまえば穴の向きなんてあまり見えよね!と自分に言い聞かせて、第1ボタンは横穴にしました。不本意ですが、僕にはこれ以上の改修は無理です・・・。
ちなみに過去に何度か記事に載せている、このベトナム製実物パステルリーフ生地リプロ(生地は当時物だけど縫われたのは近年)も全く同じ状態でした。2ポケットなのに第1ボタン無し。前合わせボタンホールは縦穴・・・。せっかく実物生地なのにこれは残念過ぎます。もったいない・・・。

今気付いたのですが、この服も一緒にボタンホール開けてもらえばよかったです。すっかり忘れてました。また近いうち穴かがり所に持ち込みます。

なんで本国製のリプロがこんなにいい加減なんじゃい!と憤りを覚えます。恐らくこれらのリプロは外国のマニアや業者がベトナムの洋裁屋に発注して作らせたものですが、その際服の仕様のに指示が上手く伝わらなかった、あるいはそもそも発注する側に知識がなかったのだと思います。当然ですが、いくらベトナムであっても、その辺の町の洋裁屋さんが3・40年前に消えた旧政権の軍服について詳しい知識を持っている訳が無く、単に注文された通りに作っただだけのはずです。またその後、「こういう服は外国のマニアに高く売れる」と気付いたベトナムの業者が、先に生産した=誤った仕様の服をそのまま同じ形で作り続けた為に、このような粗悪なリプロが出回っているのだろうと推測しています。
これはパッチについても言える事で、一度マニアがベトナムにレプリカパッチを発注すると、その後同じものが大量に出回るという現象が20年以上前から続いています。ただし、近年はナム戦マニア人口の減少によって正しい知識を持った客が少なくなってきたためか、レプリカを作る側もどんどんいい加減になり、最近ベトナム国内で作られているレプリカパッチの多くは、もはやレプリカとも言えない劣化版?お土産品?ばかりになってしまいました。これからは過去に作られた良質なレプリカパッチの値段が上がっていくかもしれませんね・・・。いや、マニア人口が減って需要が無くなるから、そうでもないか。
おまけ
なかなかしっくりくる色合いにならず、3回目の塗り直し中。塗料代えらい使ってます。
完成したら改めて記事にします。

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