2014年03月29日
タイガー迷彩ヘルメットカバー
普通に売ってたリプロ品なのでレア物でも何でも無いんですが、実際これをコスプレ用に使ってる人が居るのかと言うと、
恐らく限りなくゼロに近いであろうと思われる、ある意味レア(=需要無し)なヘルメットカバーです。

実はこれ、セスラー(SESSLER MFG)の生地なんです。10年位前に中田商店で販売された、通称『中タイガー』ってやつですね。
今売られてるセスラーのタイガーは薄手のコットン・ポリ混紡生地ですが、これは初代の厚手コットン生地です。
セスラー製は安くて色も良い感じなのでけっこう有名だと思いますが、このヘルメットカバーはカタログに載っていない商品なので、特に話題になることも無くいつの間にか消えていました。
僕も知ってて買いに行ったのではなく、当時たまたま中田(御徒町店)に行ったら、店の端っこの大型バケツの中にこれが(ゴミのようにw)積んでありました。たしか600円くらいだったような。
アレです。タイガー/ERDL迷彩中国軍リュックとか、今売ってるユーティリティキャップとか、中田お馴染みの『余った生地で作った訳分からない物シリーズ』の一つですw
正直これ見た瞬間、「こんなの誰が買うんだよww」と思いました。
僕は迷わず買いましたけど。


カバーの形状は、まんま米軍のM1(M1956)ヘルメット用のカバーのコピーです。
偽装挿す穴までちゃんと作ってありますが、どうせ正規品じゃないんだから、もっと適当なつくりの方が雰囲気出たかも。(贅沢な文句ですが)
バンドは、100均のヘアゴムを巻いてます。
なお、これは単に物珍しいから買ったのではなく、ちゃんとコスプレに使うつもりで買いました。
ベトナム共和国国家警察・野戦警察部隊(Cảnh Sát Dã Chiến)用です。
野戦警察では迷彩服と同じレオパルド迷彩(海外ではクラウド迷彩と呼称)のヘルメットカバーも用いられましたが、タイガー迷彩のカバーもかなり支給されていたようです。
年代的には、レオパルド迷彩のカバーより早く登場してる気がします。(確証はありません)
しかしこのカバー買ったはいいものの、僕はサバゲやってないので個人的なコスプレする機会はなかなか巡って来ず、他の警察用の服共々ずっと箪笥の肥やしになっていました。
それが去年秋のベトベトで、ようやく日の目を見た感じです。実はみんな前々から警察やりたかったんですねw

なお、野戦警察の迷彩服として知られるこのレオパルド迷彩ですが、実際は野戦警察専用ではなく、河川警察や治安警察でも用いられる国家警察(Cảnh Sát Quốc Gia)共通の戦闘服だったようです。
制服のお巡りさんも、ヤバい状況の時は戦闘服(フィールドジャケット)を羽織って警備出動。
(1975年4月 陥落間近のサイゴン市内にて)
また、タイガーのカバーは警察の他にも、TQLC(海兵隊)やCIDG部隊で使用例があるそうです。
これらの部隊はタイガー迷彩の戦闘服を主に使っている組織なので自然な流れだと思いますが、意外な事に使用例は決して多くはありません。
その少なさから、おそらく支給品ではなく、PX品か個人的なテーラーメイドだと思われます。
逆に警察は、タイガーやリーフなど軍の迷彩服は全く使っていません。
つまり軍では、タイガー迷彩を服に使っていながら、(公式には)カバーには使わない。
逆に警察では、服は使わないが、カバーには使う、と。
謎ですな・・・。
ただ、その理由として一つ思い当たるのが、当時のヘルメットカバーの支給状況です。
南ベトナム軍ではアメリカによる軍事支援が始まってすぐの1960年から、米軍のリバーシブルヘルメットカバー※の支給が始まります。
このリバーシブルカバーは当初TQLCがメインでしたが、徐々に陸軍やCIDGでも大量に支給されるようになります。
なので軍では、わざわざ自国でタイガー等の迷彩カバーを作る必要が無かったのだと思います。(ただし70年代に入ると自国製のパステルリーフ迷彩のカバーをTQLCやコマンド部隊に支給している)
一方、警察でもリバーシブルカバーの使用例はありますが、タイガーと比べるとそう多くはありません。(ただし写真では茶色いミッチェルとレオパルド迷彩の見分けは難しいので確証はない)
もし警察へのリバーシブルカバーの支給が極少数だったのなら、警察はカバーの数を補うために、タイガー迷彩のカバーを生産させたと考えられ・・・
いやそれなら、レオパルド迷彩のカバーでいいはずだ。なんでタイガーなんだよ・・・。マジわからんε-(;-ω-`A)
ラストに、割と有名ですが米海兵が使ってる写真を。
1965年3月8日 ダナン上陸直後の第9海兵遠征旅団(第3海兵師団第3海兵遠征旅団)
上陸直後という事は、ベトナムに来る前に入手したと考えられます。
となると第3海兵師団が駐屯していた沖縄と考えるのが自然でしょう。
PXやオーダー品というより、普通に街で米兵向けに売ってたんじゃないですかね。
しかし駐留中規律が緩んでる時期ならまだしも、同盟国への戦闘部隊派遣第一陣という重要な任務の時にこんな物つけて、上官にブッ飛ばされないんでしょうか。
Posted by 森泉大河 at 21:48│Comments(6)
│リエナクト・コスプレ│【ベトナム共和国軍】│被服・装備│CSQG/国家警察│【アメリカ】│USMC/アメリカ海兵隊│1954-1975
この記事へのコメント
初めまして♪
タイガーのヘルメットカバーが実際に使用例があるとは知りませんでした!
ミッチェルが裏面?を指す名称だってことも驚きです。
ワインリーフ…確かにぶどうの葉っぱに見えるんですよね。
勉強になりました(・∀・)
タイガーのヘルメットカバーが実際に使用例があるとは知りませんでした!
ミッチェルが裏面?を指す名称だってことも驚きです。
ワインリーフ…確かにぶどうの葉っぱに見えるんですよね。
勉強になりました(・∀・)
Posted by ヒカル
at 2014年03月29日 22:49

>ヒカルさん
はじめまして!コメントありがとうございます。
タイガーが使われた経緯は不可解ですが、写真は沢山残っているのでコスプレ的には面白いと思ってやってみました(○'ω'○)
ミッチェルについては、僕も最近知りました。
しかしミッチェル、ワインリーフのどちらも俗称ですから、本当の意味ではどちらも正しくは無いのかもしれません。
また、今は本場アメリカのマニアでも表面の事をミッチェルと呼ぶ人も多いようです。
ややこしいので、この記事ではあえて『リバーシブル』という呼び方をしてみました。
はじめまして!コメントありがとうございます。
タイガーが使われた経緯は不可解ですが、写真は沢山残っているのでコスプレ的には面白いと思ってやってみました(○'ω'○)
ミッチェルについては、僕も最近知りました。
しかしミッチェル、ワインリーフのどちらも俗称ですから、本当の意味ではどちらも正しくは無いのかもしれません。
また、今は本場アメリカのマニアでも表面の事をミッチェルと呼ぶ人も多いようです。
ややこしいので、この記事ではあえて『リバーシブル』という呼び方をしてみました。
Posted by タイガ
at 2014年03月30日 00:33

こんにちは。
タイガー生地のヘルメットカバーいいですね!記録もあるので昔探しまくり、南ベ(かな?)官給スタンプのあるカバーを手に入れた事があります。
中田商店とかなら、倉庫を探したら実タイガーのヘルメットカバー出てきそうと思うのは私だけでしょうか?
タイガー生地のヘルメットカバーいいですね!記録もあるので昔探しまくり、南ベ(かな?)官給スタンプのあるカバーを手に入れた事があります。
中田商店とかなら、倉庫を探したら実タイガーのヘルメットカバー出てきそうと思うのは私だけでしょうか?
Posted by トンネルラッツ
at 2014年04月02日 20:39

>トンネルラッツさん
はじめまして、コメントありがとうございます!
おお!実物をお持ちとは羨ましいです。
あそこの倉庫は何が眠っているか分からない魔窟と聞きますから、あながち否定できないのが怖いですw
はじめまして、コメントありがとうございます!
おお!実物をお持ちとは羨ましいです。
あそこの倉庫は何が眠っているか分からない魔窟と聞きますから、あながち否定できないのが怖いですw
Posted by タイガ
at 2014年04月03日 00:12

前回の件は大変勉強になり、感謝申し上げます。 ところで、ご存じでしたら、すみませんが、このタイガーパターンカバーをフィリピンのMILFがたまに使用しているのを見かけますので、東南アジア装備に色々と転用出来そうで面白そうですね!
Posted by ワニ革 at 2014年06月06日 22:57
>ワニ革さん
MILFが使っているのは知りませんでした!
探せば他にも使っている組織がありそうですね。
不人気商品なので、もしかしたら中田商店の倉庫に残ってる不良在庫がいつかまた放出されるのでは、と期待しています。
MILFが使っているのは知りませんでした!
探せば他にも使っている組織がありそうですね。
不人気商品なので、もしかしたら中田商店の倉庫に残ってる不良在庫がいつかまた放出されるのでは、と期待しています。
Posted by タイガ
at 2014年06月07日 12:40

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