2017年01月25日
パッチの縫い付け
ベトナム共和国軍をはじめ1960~1970年代のインドシナ諸国の軍隊では、部隊章などの軍服に付けるパッチは米軍のような刺繍よりも、『シルク織り(通称シルク)』や『シルクスクリーンプリント(通称プリント)』製が一般的でした。これらシルク織りやプリント製パッチは服への縫い付け方が独特なので、今回は僕がこの趣味を始めたころ軍装趣味の先輩に教えてもらった縫い付け方をご紹介します。
まずパッチの他に、裏地にする布を用意します。一部の実物では裏地を使わず直接縫い付けられている場合もありますが、裏地があった方が厚みが出てヨレにくくなるので、基本的には裏地をあてた方がリアルになると思います。

裏地は服に付けた後はほとんど見えなくなるですが、見えないおしゃれという事で、今回は布の織目が当時っぽいダイソーの綿100%ハンカチ(礼装用ハンカチーフ)を使いました。また白布以外では、裏地にするためにリサイクルショップで300円で買ったオリーブグリーン色のズボンなんかも布を切り取って使ったりしています。

ハンカチを適当な大きさに切って、パッチの図柄の面を内側にして裏地と重ねて、図柄の縁(あえて2・3mm余白をつける場合もある)をミシンで縫い付けていきます。
プリント製は裏に図柄が透けて見えるので縁が分かりやすいですが、シルク織りは裏からでは見え辛いので、その場合は白色の裏地を使って、図柄を透かして見るといいと思います。(この際パッチ、裏地どちらを上にして縫っても問題ありません)
縁を縫い終わったら、縫い目から3・4mmくらい残して余分な布を切り取ります。この際、角の部分だけは縫い目のギチギリまで切り落としておくと、後でめくり返したときに綺麗に角を出す事が出来ます。
また裏地側の中心に、内側をめくり返す為の切れ目を入れます。(パッチを切らないように注意)
切れ目から全体をめくり返して、パッチの図柄の面を外側に出します。パッチの角は千枚通しなど先の尖った物で押し出し、角を綺麗に出してやります。
さらに縁の縫い目全体をアイロンで綺麗に整えます。
これでパッチ単体は完成。
あとはこのパッチをミシンで服の袖に縫い付けて完成です。縫い付ける糸の色はパッチによって様々ですが、色合いなんか気にせず何でも白糸で縫い付けられているパターンもかなり多いので、僕も毎回白糸で縫っちゃってます。

なおパッチ(SSI)を縫い付ける位置は、パッチの上端が肩の縫い目から20mmのところと書類上規定されているようですが、実際には30mm以上離れている例もあるので、大体で大丈夫です。

パッチ付けたついでに、東京ファントム製2ポケットERDL迷彩服リプロのボタンを、去年ベトナム行った時に大量に買ってきた超リアルなボタンに交換。

このボタンはベトナム戦争後、ベトナム人民軍の軍服に使うために共和国軍ボタンの金型をそのまま使って生産されたものだそうで、リアルで当然なのです。よく比べてみると色が若干違うみたいですが、ある意味、戦後製の『本物』と言えるかもしれません。

4月のベトベトで着る服がもう出来上がってしまった。気合い入りまくりんぐ!!!
この記事へのコメント
やはりベトナム戦争の考察がしっかりなさっていていつもカッコイイですね。ただ、アメリカをはじめ最近の世界は1960〜70年代当時と同じように国際的に揉め事が多くて悲しいです。トランプ大統領は壁と条約で現代のベルリンの壁を作るそうです。
Posted by 村田銃 at 2017年01月25日 21:19
村田銃さん
ありがとうございます。たしかに現在の中東情勢にはベトナム戦争に似た構図が見てとれますね。
殖民地支配からの独立と冷戦終結。強権的な政府への民衆の反発と、民衆を扇動する過激な民族主義とイスラム原理主義。繰り返される米露による代理戦争。そして政府から国民を救うはずだった革命が、気付いたら前よりももっと残忍な政府を生んでしまうという皮肉。
ただベトナム戦争と違う点は、もはや戦争は欧米にとって対岸の火事ではないという事です。今の戦争は大量の難民がヨーロッパに流入し、また国内でテロを起こされるなど、初めて経験する国内の恐怖に欧米の人びとは恐れおののき、その恐怖心がトランプや欧州各国の右派ポピュリズムに繋がってしまったようです。
またトランプが訴える不法移民への厳しい対応は、決して一部の過激な人びとだけが唱えているのではなく、そのあまりに酷い犯罪発生率への憤り・恐怖心から、比較的穏健な一般市民ですら不法移民排斥に流れてしまっているようです。
残念ながら、この流れは今後移民やイスラム教徒に対し厳しい対応が行われ、人びとの不安感がある程度和らぐまで収まらないと僕は予想しています。しかしその過程には今まで以上に大きな惨劇が予想され、悲しみの連鎖はこれからも果てしなく続いてしまうのかも知れません・・・
ありがとうございます。たしかに現在の中東情勢にはベトナム戦争に似た構図が見てとれますね。
殖民地支配からの独立と冷戦終結。強権的な政府への民衆の反発と、民衆を扇動する過激な民族主義とイスラム原理主義。繰り返される米露による代理戦争。そして政府から国民を救うはずだった革命が、気付いたら前よりももっと残忍な政府を生んでしまうという皮肉。
ただベトナム戦争と違う点は、もはや戦争は欧米にとって対岸の火事ではないという事です。今の戦争は大量の難民がヨーロッパに流入し、また国内でテロを起こされるなど、初めて経験する国内の恐怖に欧米の人びとは恐れおののき、その恐怖心がトランプや欧州各国の右派ポピュリズムに繋がってしまったようです。
またトランプが訴える不法移民への厳しい対応は、決して一部の過激な人びとだけが唱えているのではなく、そのあまりに酷い犯罪発生率への憤り・恐怖心から、比較的穏健な一般市民ですら不法移民排斥に流れてしまっているようです。
残念ながら、この流れは今後移民やイスラム教徒に対し厳しい対応が行われ、人びとの不安感がある程度和らぐまで収まらないと僕は予想しています。しかしその過程には今まで以上に大きな惨劇が予想され、悲しみの連鎖はこれからも果てしなく続いてしまうのかも知れません・・・
Posted by タイガ
at 2017年01月26日 00:20

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