2022年07月02日
ベトナム陸軍の職種徽章
※2022年7月3日更新
※2024年2月6日更新

▲Huấn Lệnh Điều Hành Căn Bản (1969)より
職種徽章のデザインのいくつかはアメリカ陸軍の影響を強く受けていますが、米軍とは異なり、レンジャーや空挺は独立した職種(兵科)です。
職種徽章は装着する被服によって佩用の仕方が異なるので、以下、被服ごとの使い方です。
将校外出服/大礼服の場合
佩用位置:ジャケットの両襟(ラペル)
徽章の素材:金属
ただし尉官・佐官のみで将官は職種徽章を佩用しない。
また佩用するかどうかは個人の自由だった模様。
勤務服の場合
当時のレギュレーションでは全職種共通で、勤務服着用の際は職種徽章を左襟または左エポレットに佩用するよう定められている。
しかし実際にエポレットに佩用している例は、後述の空挺科でしか確認できていない。
またレンジャー部隊では、後述のように勤務服ではなく作戦服着用時に左襟に佩用されている。

▲Hướng dẫn Sĩ quan (1970)より
作戦服の場合
佩用位置:右胸ポケット上側
徽章の素材:主に布製(織りまたは刺繍)、一部で金属
まず、作戦服に職種徽章を佩用するか否かは職種によって異なる。歩兵や砲兵では佩用例は少ない一方、機甲や各支援部隊では佩用率は高い。
佩用する場合、作戦服には多くの場合で布製の職種徽章が佩用される。ただし憲兵隊員には金属製の使用例が多く見られる。
例:機甲科の職種徽章。左から金属製、織り製、刺繍製


▲織り製職種徽章を佩用する機甲科将校

▲刺繍製(左)、金属製(右)職種徽章を佩用する第21歩兵師団所属の主計将校
特殊な例① 空挺科

空挺科の職種徽章『天使の翼章』は、他の職種とは違った方法で佩用される。
※『天使の翼章』は英語圏では『Jump Status(降下資格)』と呼ばれていますが、実際にはこの徽章は資格を表す物ではないので、この英語名は不適切だと思います。
I. 勤務服(チノシャツ)の場合
佩用位置:左エポレット
徽章の素材:金属
先述の勤務服時の職種徽章に関するレギュレーションは、実際にはほとんどの部隊で実行されなかったが、空挺科の兵下士官(一等中士以下)のみ、レギュレーション通りエポレットに佩用している。

II. 作戦服の場合
佩用位置:左胸ポケット
徽章の素材:布製(織りまたは刺繍)
1964年以降、空挺部隊隊員の作戦服には、職種に関わらず全員、布製の天使の翼章がすべての階級で佩用される。
即ち、布製の天使の翼章は職種徽章と言うより空挺部隊の部隊章の一つと考えられる。
特殊な例② レンジャー科

佩用位置:左襟
徽章の素材:金属
通常、レンジャー部隊では作戦服に職種徽章は佩用されないが、1965~1966年にかけての短い期間のみ、左襟に佩用している例が確認できる。
(先述のレギュレーションでは、左襟に佩用と定められているのは勤務服であり、作戦服についての言及はない)

※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。