2013年09月04日
ヴィシー・フランス インドシナ軍団
いきなりですが、第2次大戦中のヴィシー政府フランス陸軍インドシナ軍団の戦闘序列をまとめました。
僕の好きな第2次インドシナ戦争期においては、南ベトナムはもちろん、ラオス・カンボジアの高級将校も大抵フランス軍出身でして、
第1次インドシナ戦争はもとより、第2次世界大戦を戦った古参も大勢います。(インドシナ兵は第1次大戦にも出征しています)
そういった人物の経歴を調べていくうちに、こりゃもう、フランス軍自体を勉強するしかないなと思い、海外サイトを翻訳してます。
▼フランス軍カンボジア王立士官学校時代のロン・ノル(後のクメール共和国大統領)。1930年頃
さて、第2次大戦下のフランスというと、そっこーナチス・ドイツに負けて、米英軍に解放されるまでずっと占領下というパッとしない感じですが、
その間もちゃんと、フランスという国家も、フランス軍も存続していました。
ただし、占領国であるドイツに逆らわない事を条件に許された、名目上の独立国。いわゆるヴィシー政府です。
そしてフランス本土が親独政権になったことで、フランスの海外領土・植民地の多くもそれに従い、枢軸国陣営に組み込まれました。
その最たる例が、1940年に始まった日本軍の仏印進駐です。

本土防衛に失敗したフランス軍に、もはや植民地を守る意欲は無く、ドイツの同盟国日本による進駐の要求に、
フランス領インドシナ政府はなすすべなく同意します。(本土のヴィシー政権は認めなかったみたいだけど)
ただし、この仏印進駐の最大の目的は、米英による中国蒋介石政権への軍事援助『援蒋ルート』の遮断だったので、
その目的を果たした事で、インドシナは日本単独による軍事占領ではなく、従来の植民地政府と日本軍による共同統治という
奇妙な状態が1945年まで続くことになります。インドシナに駐留していたフランス軍も、当初はヴィシー政府を認めない一部強硬派が
日本軍に対し攻撃を行いましたが、多勢に無勢でまもなく制圧され、以後ほとんどの部隊はそのまま任務を継続しました。
▼フランス領インドシナ総督ジャン・ドクー(Jean Decoux)海軍大将と、日本陸軍印度支那駐屯軍将校

ところ変わって欧州。
当然フランス人の中にも、ドイツを打倒して祖国を取り戻そうという勢力がいます。
その急先鋒が、シャルル・ド・ゴール将軍がロンドンに樹立した亡命政府『自由フランス』。
自由フランスはヴィシー政府に従わなかったフランス海外県・植民地のフランス軍やレジスタンスをまとめて自由フランス軍を結成し、
連合軍の一員としてアフリカ、欧州で戦っていきます。

そして1944年、連合軍のノルマンディー上陸によってついにドイツ軍とヴィシー政府の崩壊が始まります。
これを受けてインドシナに駐留するフランス軍も、次第に自由フランスへ接近し始めた事から日本軍は危機感を覚え、
1945年3月、これまでの共同統治を捨ててフランス軍を武力制圧し、フランス領インドシナそのものを解体する、いわゆる仏印処理『明号作戦』を開始します。
こうしてフランス軍と日本軍は交戦状態に突入しましたが、その中には多くの仏軍インドシナ人兵士もいました。
例えば後の南ベトナム軍少将・復員省大臣ファン・バン・ドンは当時、フランス陸軍第19混成植民地歩兵連隊の将校として日本軍と戦い、
中国領に撤退した後も国民革命軍と合流し、終戦まで日本軍への抗戦を続けたそうです。
このように、自由フランス軍に属していなくとも、大戦中に枢軸国と戦ったフランス軍人には、後にフランス政府から第2次大戦の戦功・記念メダルが贈られています。
はいでは、仏印処理がその後どうなったとかはウィキペディア等を読んで頂くとして、以下にドイツ軍フランス侵攻直前の1940年5月10日から、
明号作戦が行われる1945年までインドシナに駐屯していたフランス陸軍部隊の戦闘序列をまとめましたのでご覧ください。
なお、ヴィシー政権は1944年8月に崩壊していますが、インドシナ軍団の編成は特に変わらないので、そのまんま載せちゃってます。

今さらだけど、こんなの何の役に立つんだ・・・?
なお、第1次インドシナ戦争のCEFEO(極東フランス遠征軍団)の編成も、だいたい出来てるので、そのうちアップします。
こっちはまだ喜ぶ人がいそうだな。
この記事へのコメント
この辺のバックボーンを調べてなかったので、WW2からのインドシナ→ナム戦の流れがなるほどって感じです。
Posted by Oscar
at 2013年09月11日 07:10

>Oscarさん
実はインドシナ戦争の前にもう一つ戦いがありまして、
WW2終戦にともないインドシナはイギリス軍に占領されますが、歯止めを失ったベトミンによって治安が極度に悪化したため、
まだ武装解除前だった日本陸軍に治安維持任務が与えられ、英仏日によるベトミン掃討戦(War in Vietnam)というのがありました。
これが第1次インドシナ戦争に発展したようです。
実はインドシナ戦争の前にもう一つ戦いがありまして、
WW2終戦にともないインドシナはイギリス軍に占領されますが、歯止めを失ったベトミンによって治安が極度に悪化したため、
まだ武装解除前だった日本陸軍に治安維持任務が与えられ、英仏日によるベトミン掃討戦(War in Vietnam)というのがありました。
これが第1次インドシナ戦争に発展したようです。
Posted by タイガ
at 2013年09月12日 20:16

さらになるほど!確かに第一次とか言いますね!
Posted by Oscar
at 2013年09月12日 20:50

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