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2014年10月03日

フランス軍TAP 47/53降下ジャケット



うちのブログは、ベトナム戦争に関する人文系の情報を同好の方々にシェアできたら良いなと思ってやってるものなので、あまり『軍装趣味』っぽい記事が無いですね。
それでも思ってた以上に読んでくれる人が居た事に驚きと喜びを覚えていますが、やはり多くの人が気になってるのは、「南ベトナムの〇〇将軍は今何してる」等ではなく、野戦服や装備などの軍装品である事は重々承知しています。
なので、僕はコレクターではないので大した物は持っていませんが、今回からちょっとずつ、最近入手した軍装品を載せてみようかと思います。

フランス軍 TAP 47/53降下ジャケット

フランス軍TAP 47/53降下ジャケットフランス軍TAP 47/53降下ジャケット
 フランス軍の空挺部隊向け1947年型降下ジャケット(Veste de saut TAP modèle 1947)です。TAP 47は年代毎に服の構造や迷彩パターン(通称リザード迷彩)が徐々に変化していますが、今回譲って頂いたこの服はTAP 47/53と呼ばれる、1953年改良型です。
 TAP 47と言えば第1次インドシナ戦争でフランス軍空挺部隊が使用していたイメージが強いですが、この47/53は戦争の末期に生産された為、完成した服がインドシナに到着した頃には戦争が終結してしまい、第1次インドシナ戦争中に使用された数はかなり少なかったそうです。

 しかしジュネーヴ協定後、撤退したフランス軍の装備を引き継いだベトナム・ラオス・クメール軍の空挺部隊は、在庫のあったこの47/53を長きに渡って愛用していきます。元々フランス軍植民地空挺大隊であった彼らは、独立後もフランス空挺部隊の伝統に誇りを持っており、後に他の迷彩服が制定された後も、47/53降下服を着る事は空挺資格を持つ者のステータスでした。(第1次インドシナ戦争期のインドシナ人空挺部隊については、過去記事『CEFEO空挺部隊』参照)
 しかしフランス撤退から数年で47/53の在庫は底を付き、その流通量は年々減っていきます。それでも降下服に憧れる空挺隊員たちはこぞって47/53を買い求め、当時のエリート部隊兵士の給料1か月分に相当するほどのプレミア価格がついたそうです。
 さらにオリジナルの47/53が入手困難になると、是が非でも降下服を着たい彼らは業者にTAP47のコピー品を発注するようになります。言わば、軍人による軍人のためのリプロ品の登場です。それらはフランス軍の迷彩ポンチョ生地を用いたテーラーメイドや、47/53の後に登場したTAP 47/56をコピーさせた韓国製47/56、さらには自国の(正確にはアメリカで開発された)迷彩生地を用いたリーフ迷彩TAP 47までもが生産されたようです。
 このようにTAP 47降下服は、フランス撤退から20年近く経ってもなお、赤ベレー(Beret rouge)と共にインドシナ空挺兵のスピリットを象徴する軍服であり続けたのでした。

フランス軍TAP 47/53降下ジャケットフランス軍TAP 47/53降下ジャケット 
〔左〕ベトナム共和国軍空挺グループ(1955年)
〔右〕ラオス王国軍空挺コマンド(1956年)
ベトナム・ラオス・クメールの旧フランス連合国は、1954年のフランス撤退後も現地に残された装備を引き継いで使い続けました

フランス軍TAP 47/53降下ジャケット
ベトナム共和国軍空挺師団衛生大隊の将校たち(1970年代初頭?)
両サイドがオリジナルのフランス製TAP 47/53
左から2番目が仏軍ポンチョと思われる生地で作られたテーラーメイドTAP 47ドカジャン仕様

フランス軍TAP 47/53降下ジャケット 
ベトナム共和国軍海兵師団(緑ベレー)と空挺師団(赤ベレー)(1960年代末?)
海兵隊までリーフ迷彩TAP 47を着ているのは驚きです!

 一方、本家フランス軍は第1次インドシナ戦争が終結すると、すぐさまアルジェリア戦争に突入します。 しかしアルジェリア問題をめぐってフランス国内の政情は極めて混乱し、1961年にはアルジェリア駐留部隊によるクーデター未遂事件"将軍達の反乱"が発生。フランス本土が、自国軍による侵攻に怯えるという非常事態に陥ってしまいました。
 この中でフランス政府は、特に空挺部隊の造反に大変な危機感を覚え、事件が終息すると反乱に加わった第1外人空挺連隊を解隊します。さらに空挺部隊の象徴である迷彩服は彼らを増長させる要因になるとして、着用が完全に禁止されてしまいました。
 こうして各部隊から"没収"されたリザード迷彩被服ですが、倉庫に置いておくだけでは勿体無いということで、外国の軍隊に売られる事になりました。その売却先が、当時軍事物資を外国からの調達に頼っていたイスラエル。こうしてフランスで生産されたTAP 47を始めとするリザード迷彩被服は、イスラエル軍の装備品として第三次中東戦争で大量に消費されたそうです。

フランス軍TAP 47/53降下ジャケット

 そして今回うちに来たTAP 47/53もイスラエル軍で使用されていた服で、薄っすらとヘブライ語のスタンプが押されています。なのでこの服は本来、イスラエル軍のアイテムとして見るべきなのでしょうが、スタンプ以外はまぎれも無くインドシナ諸国で使用された47/53なので、インドシナ諸国軍のコスプレ用としてありがたく使わせていただきます(笑)



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