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2019年08月17日

写真と映画からいくつか

近頃、私生活で色々とまいってまして、自分の趣味すら心から楽しめる状態ではないので、ブログの方もしばらくは、以前のような量・頻度では書けなそうです。
ただ、趣味そのものを止めたわけでないので、ちょっと投げやりですが、最近気になった写真を貼っていきます。


黒豹中隊のベレー章

ベトナム陸軍で唯一、歩兵師団本部直属の強襲(コマンド)部隊として第1歩兵師団内に存在していた『黒豹中隊(Đại Đội Hắc Báo)』では、独自のベレー章が使われていた事がこれまでも写真から知られていましたが、実物はおろか鮮明な写真すら見つかっていなかっため、その詳細は一流の研究者たちの間でも謎となっていました。

ところが先日、僕の友人のベトナム人が、長年探し求めていたその写真を発見してくれました!

写真と映画からいくつか
第1歩兵師団黒豹中隊中隊長チャン・ノック・フイー大尉(左)と、黒豹中隊チーフアドバイザー ロジャー・V・ウェルブロック米海兵隊大尉(右) [1968年ベトナム]


さらに別の友人も、実物と思しき物の画像を発見、僕に提供してくれました。完璧です。

写真と映画からいくつか

友人はこの発見に興奮して、「さっそくリプロ作るわ!」と言っていってきたので、
僕は「こんなベレー章、不人気というレベルではなく、そもそも存在を知っている人間がこの世に数える程しか居ないじゃん。もし作るなら俺は買うけど、やめといた方が良いよ~」と諭しました。

ちなみに、ベトナム軍の各師団(歩兵師団・空挺師団・海兵師団)およびレンジャー群内には、師団本部直属の偵察中隊が存在しており、第1歩兵師団も第1偵察中隊を擁していましたが、この偵察中隊は黒豹中隊とは別物です。偵察中隊は米軍のLRRPに倣った、師団本部の目となる少人数制の長距離偵察チームですが、黒豹中隊はフランス連合時代のコマンドや、60年代以降のレンジャー(BĐQ)、空挺コマンド(BKD)のように、まとまった数で強襲作戦を行う機動歩兵部隊であり、このような強襲部隊は第1歩兵師団以外の各師団には設けられませんでした。(空挺・海兵はもともと師団そのものが強襲部隊ですが)



若かりし頃のオン・コップ

映画『ディエン・ビエン・フー(残念邦題「スカイミッション~空挺要塞DC3~」)』で、賭場の顔役として戦争の趨勢を賭けにして金儲けをしているホア族(ベトナム華僑)のオン・コップ(虎爺)を覚えてますでしょうか?
たびたび主人公(?)のアメリカ人記者に意味ありげな言葉を伝え、フランス連合とベトミン、どちらが勝っても漁夫の利を得るのは中国人である事を暗に示す重要な脇役でした。

写真と映画からいくつか

そのオン・コップを演じたベトナム人俳優テー・アイン氏の若かりし頃の写真を発見。
なんとベトナム共和国軍陸軍将校の軍装です。

写真と映画からいくつか

実はこれは、1966年に北ベトナムで製作された映画Nổi gió (浮風)』 で、テー・アイン氏がこの映画の主人公のベトナム共和国軍人フウン中尉を演じた際のスチルだそうです。
あらすじをGoogle翻訳で大雑把に翻訳してみたところ、テー・アイン演じるフウン中尉は政府軍の将校だったが、フウンの妹はサイゴン政府に批判的であり、兄妹で対立が深まる。しかし妹はフウンを説得し続け、またフウン自身も政府軍の非道や米軍の横暴を目にした事で、次第に妹の正しさに気付き、最終的に軍を去って妹と共に解放民族戦線に転向。人民のための解放戦争に加わるのであった・・・的な内容みたいです。
公開は1966年ですが、作中では壁に1963年11月にクーデターで暗殺されたゴ・ディン・ジエム総統の肖像が飾ってあったことから、時代設定は1963年より前のようです。
まあ戦時中の北ベトナムで製作され、当時から『解放映画』と呼ばれている純然たるプロパガンダ映画なんですが、軍装マニア目線で見ると、いくつか注目したい点がありました。

まず上のフウン中尉が被っている制帽(少なくとも帽章)は本物ですね。ただ肩章は先が尖ってますが、この時代は丸いのが正解です。

また軍装の組み合わせ自体は間違っているのですが、下のこの帽章はなかなかレアです。多分本物。

写真と映画からいくつか

1955年以降、ベトナム共和国の警察機構は公安警察庁の下で警察と公安が別々に存在していたのですが、1962年にそれらは統合されて国家警察(CSQG)となります。そしてこの帽章は、国家警察に統合される1962年以前に使われていた旧・警察の帽章なのです。

写真と映画からいくつか

まあこの作品内では、この帽章を付けている人物は制服も肩章も陸軍式だから考証的には完全に間違っているんだけど、少なくともこの帽章自体は本物のような気がします。北越の宣伝映画とたかをくくっていたけど、まさかこんな発見があるとはね。





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