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2023年12月09日

続・国家警察の赤ベレー

過去記事『不可思議な写真』の中で、マウタン1968(テト攻勢)時の写真には、ベトナム国家警察の迷彩服であるホアマウダット(クラウド)を着ているにも関わらず、ベレーは赤系色(陸軍空挺もしくはレンジャー)を被っている将兵の例が複数見られると書きました。

続・国家警察の赤ベレー


そして先日、その中の一人が特定できました。
下の写真の中央の人物は当時の国家警察総局総監グエン・ゴック・ロアン空軍少将で、その右側の赤ベレーの人物がグエン・トゥア・ズー(Nguyễn Thừa Dzu)陸軍中佐(当時少佐)です。

続・国家警察の赤ベレー

ズー中佐は元々、ダナンに駐屯する陸軍第11レンジャー大隊の大隊長でした。
この第11レンジャー大隊は1966年3月に発生した中央政府(グエン・バン・テュー政権)への大規模な反政府運動の際、テュー政権に反対する立場を取り、政府の統制から離反して反政府勢力の一部となってしまいます。このまま行けば再びの軍事クーデターに繋がりかねない事態を前に、テュー政権で国家警察総監を務めていたロアン少将(当時大佐)はダナンに赴き、直接ズー中佐の説得に当たります。その結果、ズー中佐は説得を受け入れ、第11レンジャー大隊は政府の指揮下に復帰。反政府運動は鎮静化され、テュー政権は崩壊をまのがれます。以後、ベトナムでは軍事クーデターにつながるような大きな政変は起こりませんでした。
その縁からか、ズー中佐は1966年中に、ロアン少将直属の第9警察管区司令に就任します。そのためマウタン1968(テト攻勢)では、サイゴン市街戦で指揮を執るロアン少将の傍らにズー中佐の姿が見られます。

このように、ズー中佐は国家警察に出向しているレンジャー将校なので、服は国家警察の迷彩服*1であるホアマウダットを着ていますが、同時にベレーだけは自身が所属するレンジャーの物を着用していた*2ようです。
※1:ホアマウダットは国家警察全体の迷彩服なので、主に使われるのは戦闘部隊である野戦警察隊だが、その他の部署でも必要に応じて着用される
※2:通常、軍人が国家警察に出向した場合でも、ベレーは国家警察のもの(黒色)が着用される。ズー中佐のように原隊のベレーを被り続けるのは、あくまで自身の我がままを通した一部の将校のみ。




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