2014年11月15日
タイ軍の友達
以前、ベトナム戦争時代に生まれたタイ料理について教えてくれた絵描き・ミリタリー趣味友達であり、現役タイ軍兵士でもあるSさんが、僕の『ラオス王国軍モン族SGUとタイ国境警備警察PARU』のイラストを見て、またいろいろ教えてくれました。

ラオス内戦について
PARU(警察航空支援隊)は、タイ警察の準軍事部門である国境警備警察の特殊部隊だよ。同じ警察でも、バンコク首都警察等とは全く別の組織なんだ。もし興味があったらこれを見て。
『タイガースカウト』 ラオス派遣タイ秘密任務部隊:匿名333部隊
彼らタイ義勇部隊は認識票を身に付けなかったんだ。なぜならラオスへの派遣は非公式なものであり、捕虜になった場合も最後まで秘密を守らなくてはならなかったから。
だから彼らは皆、本名ではなくコードネームを使っていんだ。(そのため匿名333部隊と呼ばれる)
これは※リマ・サイト85に駐屯したPARU隊員だちだよ。

【リマ・サイト85】
アメリカ空軍およびCIAが同盟国であるラオス王国北部のフアパン県の山岳地帯に設置したレーダー・無線中継施設。
GPSが無かった当時、北ベトナムやラオスへの長距離空爆にはこのような地上電波誘導施設が必要不可欠であり、その防衛任務をモン族SGUと軍事顧問のPARUが担った。
1968年3月、ラオスに侵攻した北ベトナム軍の総攻撃を受けて守備部隊は全滅した。
Sさんの近況
がんばって武者修行してきてね!
S:
君に聞いて欲しいニュースがあるんだ。
11月の14・15日、僕はヤラー県(マレーシア国境に面したタイ最南端の県)に、第47タハーン・プラーン(=黒服部隊・レンジャー)連隊の選抜試験を受けに行くんだ。
タイガ:
マジで!?すげぇ。
でも君って、海軍沿岸防衛コマンドで対空ミサイル扱ってる人じゃなかったっけ?なんでタハーン・プラーンに行くの?
S:
ああ、3ヶ月前に海軍から陸軍に移ったんだ。タハーン・プラーンは実戦経験豊富だから、ミリタリーイラストを描くのに良い経験になるよ。
タイガ:
なるほど。しかし、よくやるね。
S:
すべては絵のためさ。
タイガ:
はぁ?絵のためにそんな事するの?本気かよ!?
S:
いや、本当はいろいろ理由があるよ(笑)
退役軍人証書(退役後に恩給や保証などがいろいろある)がもらえるし、給料も月18,000バーツと良いし。
そして何より、※『南部タイ反乱』の経験が大きいかな。僕は生まれ故郷を守りたいんだ。
僕の故郷はソンクラー県のハートヤイという町なんだ。そして反乱勢力は、このハートヤイを彼らの首都としてタイから独立しようとしている。
だから僕はタハーン・プラーンに入って故郷を護るんだ。
【南部タイ反乱】
2004年から続いている、タイ深南部のマレー系イスラム教徒武装組織『パタニ連合解放組織』によるタイからの分離独立紛争。
現在に至るまでテロ事件とタイ政府軍による掃討作戦が断続的に続いている。
Sさんの故郷ハートヤイでは2006年に爆弾テロ事件が起き、多数の死傷者がでた。
兵役抽選会で海軍を引いてしまい、嫌々海軍で働いていたアニヲタ兼ミリヲタ、二次元エロ絵師のSさん。
好きなアニメは『カードキャプターさくら』と『Fate』シリーズ。
そんな彼の口からタハーン・プラーンに行くと聞いた時は、「こいつアホだろw」と思いましたが、まさか故郷の町が民族紛争の現場になっていようとは・・・。
こんなシリアスな話だとは想像していませんでした。この記事を書いているまさに今、彼は選抜訓練を受けている最中なんですね。
僕はこんな趣味していながら、(その必要性は理解はしているが)本質的に殺人を生業としている軍人という職業を手放しに称賛はできないので、彼に軍務をがんばって欲しいとは思わないです。
ただただ、彼が怪我無く訓練を終えることを祈っています。
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