2014年12月14日
ドイツ国防軍@1919年
1919年、ドイツ内戦(ドイツ革命)の最中に創設された当時のドイツ国防軍(Reichswehr)のおべべ。
元々ドイツ帝国の陸軍部隊は、帝国を構成する各領邦が持つ陸軍を集結し、ドイツ皇帝(プロイセン国王)が統率しているという体で存在していました。(海軍は帝国直轄)
しかし第一次大戦でドイツの敗色が濃くなるにつれ、ドイツ国内では経済破綻と反戦運動が深刻化。国民は生活に窮し、社会は混乱の極みに達します。
そして1918年、ついにキール軍港でドイツ海軍水兵による反乱が発生。この反乱は全土に広がり、反乱兵士と労働者・社会主義者で組織された革命勢力『レーテ(ロシア語:ソビエト)』による『ドイツ革命』がおっ始まりました。
この革命でバイエルン王国など帝国領邦の君主は相次いで廃位に追いやられ、ついにはドイツ皇帝も退位は止む無しという情勢に至ります。そしてドイツ政府はドイツ国の共和制への移行を宣言。皇帝ヴィルヘルム2世は我が身を案じ、まだ前線で戦っている帝国軍人や困窮する国民を置き去りにして国外逃亡してしまいました。
これによりドイツ帝国(帝政ドイツ国)という体制は完全に崩壊し、残されたドイツ政府は連合国に対し降伏を受け入れます。こうして第一次世界大戦は、ドイツ帝国の内部崩壊によって終結しました。
しかし、戦いはまだ終わりません。革命によりレーテがドイツ各地で社会主義政権を樹立したものの、ベルリンの新政府はレーテ政権を認めず、革命の鎮圧に乗り出します。
けれど新政府は当初、旧ドイツ帝国軍の指揮権を手中に出来ていませんでした。なぜなら皇帝の廃位によって帝国軍の統帥者は失われており、また軍は皇帝陛下を退位に追いやり、ドイツ降伏という屈辱をもたらした政治家たちを裏切り者と捉えていたためです。
その一方で、軍としても社会主義者によるレーテ政権やドイツの国家分裂を認める訳にはいかず、戦場から帰国した軍人達は自主的に非公式な軍事組織『義勇軍(フライコーア)』を組織します。
そしてフライコーアはレーテ政権打倒と、どさくさに紛れて国土に侵入する周辺国軍からの国境防衛に挑んでいきました。
この旧帝国軍による武力による掃討に対して、レーテ側の共産主義者も大規模な武装蜂起を起してフライコーアに対し徹底抗戦を開始します。こうしてドイツは、第一次世界大戦の敗北と同時に、右派対左派の『ドイツ内戦』に突入しました。
翌1919年1月、内戦の戦火が拡大する中、ベルリンでは正式に『ヴァイマル共和政』政府が発足し、ドイツ国家再建への試みがスタートします。
そして同年3月、ついに皇帝ではなくドイツ国家が保有する、ドイツ史上初の国軍たる『国防軍(Reichswehr)』が創設されました。
創設当時の国防軍は、戦地から帰還した旧帝国の各領邦軍を再集約すると共に、レーテ討伐で功績を挙げた4つのフライコーア(計約15万人)を統合しており、総兵力は40万人に上りました。
こうして創設された国防軍はフライコーアと共に共産勢力の鎮圧に投入され、数ヶ月の内に敵を制圧してドイツ革命の終結と国土の維持に成功しました。
イラストはこの当時の、国防軍第21旅団の各部隊です。第21旅団は『フォン・エップ義勇団』を国防軍に編入した部隊で、旧バイエルン王国軍部隊から構成されていました。
左からバイエルン第1/第41国防軍狙撃兵連隊、バイエルン/第21国防軍猟兵大隊、バイエルン/第21国防軍騎兵連隊、バイエルン第1/第21重砲兵大隊
※帽子は正確ではないかもしれません。
とまぁ、初陣で素人同然の共産軍(しかも同じドイツ人)相手に華々しい勝利を挙げたドイツ国防軍ですが、彼らは同年6月28日に、残念なお知らせを聞くことになります。
この日、フランスのヴェルサイユ宮殿で、第一次世界大戦の講和条約『ヴェルサイユ条約』が調印されました。
その内容は敗戦国ドイツにとって致命的に厳しい条件ばかりでしたが、特に国防軍的にショックだったのがこの条項。
『国防軍の兵力は10万人以下ね!ドンマイ!』
こうしてドイツ国防軍は、創設からたった1年ほどで人員の3/4がリストラされるという大ダメージを受けてしまいました。
以後ドイツは国防において周辺国に大きく遅れをとり、フランス軍によるルール地方占領を許すなど幾多の屈辱を味うなど、ヴェルサイユ条約と戦勝国に対する怨恨は長く国防軍軍人の心に残り続けます。
それから十数年後、アドルフ・ヒトラー率いるナチス党が台頭し『ヴェルサイユ条約の破棄と再軍備』という国防軍にとって甘い誘惑を掲げると、国防軍は積極的にナチス政権樹立やナチスによる白色テロルを支援。
そして1935年、ナチス政権がついにヴェルサイユ条約の破棄と再軍備を宣言すると、ヴァイマル共和制ドイツ国防軍"Reichswehr"は、ナチ政権国防軍"Wehrmacht"として再建されていきます。
こうしてヒトラーの誘惑に負けたドイツ国防軍は、自ら進んで国家と憲法ではなくアドルフ・ヒトラー個人に忠誠を誓うナチスの党軍へと成り下がってしまったのでした・・・
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関係ないけど、『ドールズ・パーティー32』に行ってきました。
今までアキバのボークスのショールームとかでドールは見た事あるので、どういうものか分かっているつもりだったけど、イベントでディーラーさんが展示しているドールを間近で見てみると、想像以上の可愛さに心が奪われました。
なんか、ため息が出るほど美しい物でした。iPhoneのカメラでしか撮れなかったのがホント心残り。
高い物なので衝動買いすることは無いけど、いつかお迎えする方向で情報収集はしていくと思います。
たぶん軍服衣装を自作するんだろうな俺。
この記事へのコメント
初めまして、面白い記事をいつもありがとう。ドイツとは珍しいですね。
Posted by 筍 at 2014年12月28日 10:09
>筍さん
はじめまして。コメントありがとうございます。
このブログはベトナムがメインですが、実はドイツも好きで調べてます。
世界的に人気の高い分野なので、資料集めが比較的楽なのが良いですね。
はじめまして。コメントありがとうございます。
このブログはベトナムがメインですが、実はドイツも好きで調べてます。
世界的に人気の高い分野なので、資料集めが比較的楽なのが良いですね。
Posted by タイガ at 2014年12月28日 15:05
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