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2018年10月03日

マイクフォースのベレー

10年前に失くしたと思っていたMASHシルバータイガーのベレーを先日、実家の両親の寝室で見つけました。
なんで10年間も誰も気付かなかったの

 

レプリカとは言え、今では手に入らない物ですから見つかって良かったです。


ちなみにこちらは、MASHベレーが行方不明になってから5年後くらいに買ったメーカー不明のベレー。


タイガーベレーと言えばマイクフォース(MSF)という事で、このベレーには第II, 第IV軍団および第5MSFで使用が確認できる『柳葉刀と稲妻』のパッチをベレー章として付けています。

ところで、マイクフォースのベレーを立てる向きには
左上がり(イギリス・アメリカ式)と
 

右上がり(フランス・ベトナム式)
の両方が見られます。

ベレーの向きとは部隊の伝統を示す重要なアイコンであるはずなのに、なぜ同じマイクフォース内で違いがあるのでしょうか?
私はまだその理由について明確に記された資料を見つけられていないので、現段階では当時の写真から推測をしてみます。

まず、これらのベレーの向きは概ね部隊単位で決まっており、個人個人が好きに買ったものではないという事です。

左上がり:第5MSF(ニャチャン・マイクフォース)第6中隊
第5MSFでは他の中隊でも確認できるのは左上がりのみでした。


右上がり:第IV軍団MSFエアボート中隊 
※中心にいる左上がりベレーの白人はアメリカもしくはオーストラリア兵なので自国の左上がり式を使っています。


ただし、稀に左右が混在している場合もあります。

第II軍団MSF
※ただし、他の写真では第II軍団MSFは左上がりの例が多いので、基本は左上がりだったと思われます。

以上から、マイクフォースにおけるベレーの向きは多くの場合、左上がりで統一されていたが、一部の部隊では右上がりを採用していた、という事が分かります。

次に、左上がりが多い理由についてです。
これは、マイクフォースを含むCIDG部隊は長年アメリカ軍グリーンベレーによって組織・指揮された部隊であり、グリーンベレーへのリスペクトから米軍と同じ左上がりを採用したと見てまず間違いないと思われます。
なぜなら、本来マイクフォースのベレーは後述する右上がりの方が自然なはずで、むしろ左上がりは不自然な事であり、グリーンベレーの影響以外に説明がつきません。

マイクフォースでは米軍グリーンベレーを模した左上がりの濃緑色ベレーの着用例も見られます。(第5MSF第6中隊)


では、右上がりは何なのかと言いますと、これはズバリ、ベトナム共和国軍の正式なベレーの向きです。
マイクフォースを含むCIDGは米軍およびオーストラリア軍が中心となって組織した部隊ですが、その正式な所属はあくまでベトナム陸軍特殊部隊(LLĐB)です。マイクフォースとはベトナム共和国軍の各軍団本部直属(第5MSFのみ全国即応)の軽歩兵部隊であり、決してアメリカ軍ではありません。そもそも外国人が米軍人にはなれませんし、マイクフォースを指揮するグリーンベレー隊員も、あくまでベトナム軍特殊部隊付きの軍事顧問という立場でした。
なのでマイクフォースが所属するLLĐBのベレーは、米軍とは反対の右上がりの濃緑色ベレーであり、本来はマイクフォースでもベレーの向きはベトナム軍と同じ右上がりになるのが自然です。
実際に、タイガーベレーでは左上がりを使っている部隊であっても、LLĐBである事を表すウール製の濃緑色ベレーの場合は右上がりを使っている例が多く見られます。

第II軍団MSF

第5MSF

第IIもしくは第IV軍団MSF


以上がマイクフォースのベレーの向きに関する僕の解釈です。
ベレーの向きという一見些細な部分からも、正式な所属はベトナム軍だけど、心情的にはアメリカ軍が好きという、CIDGの微妙な立場がにじみ出ていますね。
なおコスプレ的には、タイガーベレーは左上がり、ウール製は右上がりにしておくのが一番使い勝手が良いかなと思っています。


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この記事へのコメント
タイガさん、お久しぶりです。 先日に沖縄のキャンプシュワブ周辺で取材したんですが、「ベトナム戦争が始まる前か初期頃に南ベトナムの軍人がよくアメリカの軍人と演習していた。彼等は迷彩服も違うし、ベレー帽を被っていた。また、英語も喋っていた。」という証言があったのですが、タイガさんは南ベトナム軍関係者が沖縄で訓練していたという史料や証言を知っていますか? 個人的にはかなり興味深い話なのでさらに調査したい具合です。
Posted by 沖縄タイガー at 2018年10月03日 18:49
沖縄タイガーさん
沖縄という証言はまだ得ていませんが、60年代にベトナム兵が千葉県の習志野駐屯地で訓練を受けている写真は知人が持っている資料に掲載されているそうです。ただし自衛隊の施設を使ってますが、訓練を主導しているのはおそらく米軍だと思われます。
60年代半ばまではベトナム国内のコマンド訓練施設が整っていなかったので、同様に台湾やフィリピン、マレーシアの英軍ジャングル戦センター等でもベトナム軍特殊部隊幹部への訓練が行われていました。
なので当時アメリカの統治下にあった沖縄なら、ごく自然な事かと思います。
しかし証言された方も、よく60年近く昔の事を覚えていましたね。
Posted by 森泉大河森泉大河 at 2018年10月04日 07:32
タイガさんコメントありがとうございます。

なるほど、、やはりベトナム戦争初期は各国の米軍訓練施設で南ベトナム軍幹部への研修や訓練が行われていたんですね。 

おばーちゃん曰く「ベトナム戦争が始まる前から、ベトナム人がキャンプシュワブに来ていて米軍と一緒に訓練していた。 彼らは米軍と違った迷彩服を着ていて特に印象的だったのがベレー帽を被っていたからさぁ」と言っていたので、彼らの軍装(迷彩服、ベレー着用)が特徴的だったから60年以上経っても鮮明に覚えたのではないでしょうか?

今後も取材で得た面白い情報があればコメントしていきます。(笑)
Posted by 沖縄タイガー at 2018年10月10日 11:27
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