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2022年07月15日

独立区と特別区

※2022年7月18日更新
※2022年7月20日更新
※2024年9月21日更新

これまで当ブログではBiệt KhuとĐặc Khuの両方を「特区」と邦訳してきましたが、混同を避けるために今回からBiệt Khuは「独立区」、Đặc Khuは「特別区」と書き分けています。

独立区と特別区


独立区(Biệt Khu)

ベトナム共和国軍は発足以来、南ベトナムの領土をいくつかの管区に分けて防衛していました。
中でも1962年に再制定された4つの戦術区(1970年に軍管区に改称)は、米軍からCTZ(Corps Tactical Zone)と呼ばれ、ベトナム戦争を通じてベトナム、アメリカ、その他同盟国軍の基本的な管区として用いられた事は割と知られていると思います。
ベトナム陸軍では、第1~第4戦術区/軍管区に、それぞれ第1~第4軍団(各軍団は2~3個歩兵師団+3~6個レンジャー大隊で構成)が配置されていました。(過去記事『ベトナム共和国軍陸軍部隊一覧』参照)
また地方軍では各戦術区/軍管区に、53~144個の地方軍中隊/大隊が駐屯しました。(過去記事続・地方軍の構成』参照)

それら戦術区/軍管区に加えて、ベトナムには戦略上の必要に応じて、戦術区/軍管区の指揮系統から独立し総参謀部の直接指揮下に置かれる独立区累計で4つ設置されました。

・首都独立区(Biệt khu Thủ đô)
管轄範囲:サイゴン市およびザーディン省
1961年に戦術区と同時に制定。首都サイゴンの防衛を担う。

・第24独立(Biệt khu 24)
管轄範囲:コントゥム省、プレイク省
第2戦区より独立。中部高原(タイグエン地方)の国境防衛を担う。

・第44独立(Biệt khu 44)
管轄範囲:ハーティエン市、チャウドック省、キエンフォン省、キエントゥオン省
第4戦区より独立。ベトナム南西部(ミェンタイ地方)の国境防衛を担う。1973年に解散し第4軍管区隷下に復帰。

・ハイイェン独立区(Biệt Khu Hải Yến)
管轄範囲:アンスェン省カイヌォック地区
1962年に第4戦区より独立。中国キリスト教難民を主体とする人民自衛団ハイイェン部隊で構成。1966年に解散し第4戦術区隷下に復帰。(過去記事グエン・ラック・ホア神父』参照)

独立区と特別区
▲戦術区/軍管区および独立区の範囲と部隊章

独立区と特別区
▲首都独立区所属の陸軍将校


特別区(Đặc Khu)

特別区(Đặc Khu)は独立区(Biệt Khu)と名前が似ていますが、独立区が総参謀部直属の高次な軍事戦術地区なのに対し、特別区はそれよりもかなり下位の階層にある、小区の下に特別に設置される地方軍および地方組織の地区です。
通常、小区(省)の下には支区(都市)本部が置かれますが、特別区は支区に属さず、大きな自治都市や離島に設定されました。(過去記事地方軍・義軍の構成参照)

・ルンサット特別区(Đặc Khu Rừng Sát)
所属:第3戦術区/軍管区ザーディン小区
管轄範囲:ザーディン省ルンサット地区

クアンダ/ダナン特別区(Đặc khu Quảng Đà / Đà Nẵng)
所属:第1戦術区/軍管区クアンナム小区
管轄範囲:クアンナム省ダナン市

・カムラン特別区(Đặc khu Cam Ranh)
所属:第2戦術区/軍管区カムラン
管轄範囲:カムラン省カムラン市

・ブンタウ特別区(Đặc khu Vũng Tàu)
所属:第3戦術区/軍管区フォクトイ
管轄範囲:フォクトイ省ブンタウ市

・フーコック特別区(Đặc khu Phú Quốc)
所属:第4戦術区/軍管区キエンザン
管轄範囲:キエンザン省フーコック島

・コンソン特別区(Đặc khu Côn Sơn)
所属:*
管轄範囲:コンソン島*
※人口が少なく主に海軍基地と刑務所が置かれていたコンソン島の行政区画は以下のように幾度も変更されています。
・コンソン省(1956-64):独立した省。軍事的には全面的に海軍の管轄下。
フォクトイ省ブンタウ市コンソン基礎行政区(1964-1965):一時的にブンタウ市の行政区画に組み込まれる。
・コンソン基礎行政区(1965-1972):省には属さない独立した地区となる。
・ザーディン省/首都独立区コンソン特別区(1972-1975):行政区画がザーディン省所管となる。また軍事的には首都独立区が所管。


これら特別区に関する情報は少なく、このうち私が部隊章を確認できているのは、今のところルンサット特別区とクアンダ特別区の二つだけです。

独立区と特別区
ンサット特別区

 独立区と特別区
クアンダ特別区

独立区と特別区
▲米軍から表彰を受けるクアンナム小区クアンダ特別区所属の地方軍将兵 




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