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2013年09月27日

政治戦総局/TCCTCT

※2024年4月13日更新

あれは僕が二十歳くらいの頃。
ある日、ブラックホールだかビクトリーショーに一人で行ったら、あるディーラーで南ベトナム陸軍の肩章が売っていました。
肩章は二種類あり、一つは一般的な略式(スリーブ型)肩章に金属製階級章(少尉)。
もう一つは、それとほぼ同じ肩章の上に、謎の金属製徽章が付いた物でした。
どっちを買おうか迷いましたが、両方同じ値段だったので徽章付きの方がお得だろうと思って、後者を選びました。
しかし、その後もこの徽章の正体が分からない状態がずっと続いてました。

政治戦総局/TCCTCT

それから数年後、インターネットで在米南ベトナム軍人アソシエーションのサイトを見ていたら、見覚えのあるマークが出てきました。
どうやらあの徽章は、政治戦総局という組織の物のようです。
具体的にどういう事をしてた機関なのか以下にまとめてみました。

政治戦総局/TCCTCT
政治戦総局[ Tổng Cục Chiến tranh Chính trị (TCCTCT) / POLWAR General Department ]とは、プロパガンダや宣伝工作など国内外への心理作戦を行うため1964年11月に創設された総参謀部(BTTM)直属の機関。
ベトナム戦争は、その当初から国内の反政府勢力の反乱という非正規戦争の要素が大きく、通常の軍事作戦だけでは対処出来ない事は明白だった。そのためには、まず南ベトナム政府が人心を掌握し、民衆がベトコンなどの反政府勢力に流れないようする必要があった。
また、末端の共産軍兵士の中には共産主義に懐疑的で、純粋に民族自決や宗教解放が目的であったり、貧困や徴兵によってしかたなく
戦っている者も多く居たため、これらの人々に対しては南ベトナム政府の正当性をアピールすることで戦意を削いだり、投降・寝返りを促す心理作戦が有効であった。
政治戦総局はその実行機関として様々な宣伝工作を遂行し、ベトナム戦争において重要な役割を担った。

政治戦総局は以下の五つの部局から構成されています。

軍事保安局(Cục An Ninh Quân Đội)
敵スパイに対する防諜・情報保全などを担う保安機関。
1952年にベトナム国軍総参謀部が発足した際、その部局として軍事保安課(Nha ANQD)が設置された。
1965年の軍の組織改編に伴い政治戦総局の部局となり、軍事保安局(Cục ANQD)へと改称される。
形式上は政治戦総局の下にあるが、諜報戦に関しては独立した権限を有しており、国内の共産軍シンパの摘発を独自に行っている。


心理戦局(Cục Tâm Lý Chiến)
軍民から集められた数百人の歌手・俳優による中央芸能集団(Biệt đoàn Văn nghệ Trung ương)を擁し、ラジオ・テレビ・映画・出版物
等のメディアを通じて国内の国威宣揚、および敵へのプロパガンダと撹乱工作を行う。
心理戦局はゴ・ディン・ジェム政権時代に発足し、1962~64年の間は心理戦の専門家を育成するための15の基礎心理戦訓練コースを
運営した。1965年には改編に伴い政治戦総局の所管となり、それまで予算が足りず心理戦を実行する事が出来なかった各部隊に代わって、
心理戦局が一括して心理作戦を引き受けた。これは特に、部隊規模が小さいながら地元民間人との協力関係が重要な地方軍(DPQ,NQ)
にとって非常に効率的なシステムとなった。
また、心理戦局はベトナム・ボーイスカウトも所管していたが、1970年以降は組織を改編し社会福祉局に移管した。
共産軍への心理作戦は米軍特殊部隊心理戦(PSYOP)部門と共同で行われ、チューホイ計画本部(Bộ Chiêu Hồi)は、敵支配地域に投降
を促すビラを散布したり、スピーカー放送による呼びかけを行い、多数の北ベトナム兵やベトコンから投降・転向者を引き抜くことに成功した。
さらに"母なるベトナム"、"聖剣愛国戦線(OP-39作戦)"、"南部の声"、"クメールの声"、"インドシナ民族戦線"といった秘密ラジオ放送を
敵側に送信し続けた。この中には単に敵の戦意を削ぐだけでなく、もともとベトナム人を嫌っているカンボジアの共産ゲリラ"クメール・ルー
ジュ"に対し、カンボジア領を往来する北ベトナム・ベトコンとの対立を煽り、共産主義勢力内での内紛を意図する放送もあった。

▲心理戦局の全面協力によって製作された映画"晴れた日の午後/Nắng Chiều"(1973)
主演のフン・クオン(本名チャン・キム・クオン)は南ベトナムを代表するスター歌手。登場する軍人は皆、心理戦局の徽章を身に付けている。


教育局(Cục Chính Huấn)
軍の教育プログラムの作成や文化・生活面での活動によって兵士(警察官含む)への愛国精神教育を行う。
戦意高揚のため"旗ははためく"、"忠国の誓い"、"立ち上がる幾千戦士"、"北からの侵略者"など多数の国威宣揚音楽の作曲も行った。
直接の教育機関として、政治戦の専門家を育成する政治戦大学(Trường Đại học CTCT)および政治戦訓練センターを運営した。
政治戦大学は心理戦局の訓練コースを基に1966年に設立された政治戦士官(SQ/CTCT)教育課程で、カリキュラムは社会科学および
政治に焦点が当てられた。それ以外の軍事分野については、ダラット国家武備学校(VBQG)に出向して中隊指揮官レベルの戦術教育
を施された。教育期間は2年間で、終戦までに6期の卒業生を輩出した。卒業後は各部隊の先任政治戦士官として任に就くはずであったが、
実際には戦争の激化で戦闘部隊指揮官が不足したため、歩兵部隊の中隊参謀または小隊長になる者が多かった。


厚生局(Cục Xã Hội)
出征した将兵に代わってその家族の住居、学校教育、医療などの生活支援・福利厚生を行う。
多数の婦人将兵(Nữ Quân nhân)が所属しており、福祉分野を専門に教育する婦人学校(Trường NQN)を運営する。
職員は傷病兵のいる病院や家庭に訪問して看護・介護・慰問を行ったり、補助教員として一般学校で教鞭を執った。
また文部省と共同で、公立小中学校における青少年向けの軍事教練や、軍人子息に対する私立学校の授業料無料化を行った。
1970年には、それまで心理戦局が所管していたベトナム・ボーイスカウトが新たに『少年軍事連盟(Liên đoàn Thiếu nhi Quân đội)』
として再編され、社会福祉局の所管となった。
また従軍司祭としてカトリック(Công giáo)、プロテスタント(Tin lành)、仏教(Phật giáo)それぞれの司祭課(Nha Tuyên Úy)を所管
した。


需品購買局(Cục Quân Tiếp Vụ)
将兵およびその家族に、軍の生活物資を免税で提供するサービスを行う。
世帯あたりの家族数に応じて購入量は定められているが、特に嗜好品であるタバコビール、牛乳、砂糖、その他生活用品が市場価格の
30%~60%で購入でき、兵士・国民の士気を高めた。


この他、心理戦大隊や軍事保安大隊の徽章はこちらに掲載。(うわこのサイト、マニアック~w)

では、僕の買った徽章はどこの部署だったかというと・・・よく分かりません。
政治戦総局/TCCTCT
心理戦局(炎マーク)に似ているのですが、うちのは炎だけでなく星マークが入っているのです。
同じデザインのパッチは存在はしているんですが、なんと言う部署なのかはっきりせず。

▼心理戦局(左)と、謎の部署(右)
政治戦総局/TCCTCT政治戦総局/TCCTCT

炎+星というデザインは他にも使われてまして、政治戦心理戦訓練センター※(左・中)と、心理戦訓練センター(右)のパッチに見られます。
※2014年5月13日訂正

政治戦総局/TCCTCT政治戦総局/TCCTCT政治戦総局/TCCTCT

では訓練センター(教育局)系で決まりかと言うとそうでもなく、
心理戦局に属すると思われる心理戦大隊(左)や対モンタニヤード心理戦部隊(右)にも、同じシンボルが・・・

政治戦総局/TCCTCT政治戦総局/TCCTCT

こうなると、もう分かりませんw

とりあえず、心理戦局か教育局のどちらかっぽいです。
ま、政治戦士官は徽章以外は普通の陸軍将校と同じ格好だし、パッチも自作できるので、コスプレする分には困らなそうです。

政治戦総局/TCCTCT

ギター片手に市民と交流する政治戦士官とか、まぢクール!!






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この記事へのコメント
いつもながら勉強させて頂きます。

マニアックなサイト覗きました。
1,2、4、10、20、30、40、50って感じでなにがなにやらw

M47上下をVショーで購入したので自分もインドシナ化が始まりました!
Posted by OscarOscar at 2013年09月29日 21:48
>Oscarさん
あのサイト、南べだけでなく、世界中の心理戦・プロパガンダ部隊の徽章だけをまとめてるサイトなんですよw
M47は羨ましいです!インドシナはいつかやろうと思いつつ、僕はまだ手を出せてません。
M47を真っ黒に染めてベトナム人コマンド部隊やりたいのですが、さすがに実物染めるのは気がひけるので、レプリカが出る事を祈ってます。
Posted by タイガタイガ at 2013年10月02日 15:08
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