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2014年07月18日

リアル

自宅から車で10分ほどの場所にまだ入ったことの無いベトナム料理店があり、前々から気になっていたので友人と二人で食べに行ってみました。

感想としては、リアルなベトナムを体験できる場所でした。

※僕みたいな旧体制(南)の愛好者が店に出入りしていると知られると無用なトラブルを招きかねないので、店名や場所は伏せさせて頂きます。


まず、店の前に着くと、ちょうど店の人らしいベトナム人のおばちゃんが車で来て、歩道を塞いで無理やり駐車。

エアコン代節約のためか店の戸は開きっぱで、中に入ると扇風機2台がキュルキュル回ってます。

連中にしてみれば、このくらいの暑さは扇風機でしのげるレベルなのでしょう。

店の中は4人掛けのテーブルが4つくらい。飾りっけの無い壁には、ベトナムの伝統楽器や絵が申し訳程度に架けてあります。

面白いと言えば、カウンターの前にある神壇ですかね。仏壇ではなく、道教の神棚です。(写真撮り忘れました)

僕ら以外に客は居らず、店内には店員の女の子と先に入った関係者らしきおばさん、厨房にもうひとりおばさんが居るだけ。もちろん全員ベトナム人です。

そんで、決して美人ではない店員の娘が慣れない感じでお茶だしてくれて、メニュー見て注文。高くもなく、安くもなくって値段です。

料理を待ってるあいだ、店内を観察しながら雑談。

店内にBGMはなく、開け放たれた戸の前を走る幹線道路の騒音、日本製だけど埃たまって汚い扇風機の作動音、テレビから流れる忍たま乱太郎の音声がこだまします。

そしてさっきのおばさんは空いてる席に座り、靴を脱いで素足であぐらをかいて、電器屋のチラシを広げて、厨房のおばさんとデカい声であーだこーだベトナム語で喋くってます。

う~ん、実にいい具合に東南アジアです。エアコンのないじっとりとした暑さとも相まって、もう空気がネイティブです。

日本人向けの小洒落たベトナム料理・エスニックレストランでは味わえない、リアルなベトナムの雰囲気を満喫できました。とてもデートにはお勧めできません。

※悪口のように聞こえますが、僕はこの感じがとても気に入りました。褒める気もないけど。

さて、本題のメシが到着。

頼んだのは古都フエの郷土料理Bún bò Huế (ブン・ボー・フエ)。700円。

リアル

Búnは米粉麺、bòは牛。直訳すると『フエの牛スープ・ビーフン』だそうです。

リアル

別皿の生もやしとキャベツと香草(ベトナムバジル?)をぶち込みます。これにより、すごく爽やかな味になります。

なるほど、クソ暑い場所で、熱いスープと麺を食べるには、この香草で強制的に味をスーっとさせる必要があるんですね。

料理とはその土地の気候と密接に関っているということがよく分かりました。分かったからエアコンつけて。

お味は、とても美味しかったです。料理だけは真面目に作ってますね!

野菜も含めるとそれなりにボリューミーでした。これで700円は、まぁ良心的でしょう。(どうせベトナム人しか来ない店なので高くできないだろうし)

それに、黙ってても店員の子が時々お茶をつぎに来てくれる。素晴らしい!お茶のお代わりは金とられる気がしたので我慢してたんです。

いや~、この店気に入りました。また食べに行こうと思います。涼しくなってから。







おまけ:道教について

道教は中国漢族の民族宗教で、尊神(神様)、俗神(関羽や孫悟空など英雄や伝説の人物)、神仙(仙人)をお祀りします。

ベトナムは日本と同様、道教をはじめ中国文化を長く受け入れてきた国なので、今でもたくさんのベトナム人が道教(および道教から派生したカオダイ教など)を信仰しています。


(逆に本家中国では共産主義により宗教が否定され、文化大革命で儒教・仏教ともども貴重な文化遺産の多くが破壊されてしまいましたが・・・。)

現代の日本では、道教と言うと中華街にある廟(道教寺院)くらいしか思い浮かびませんが、実は道教は日本にも多大な影響を与えています。

日本に道教が伝来したのは仏教よりも早く、古墳時代に大陸から伝わりました。当時中国はスーパー先進国だったので、古代の日本人は中国を見習って漢字や道教など中国の優れた文化を積極的に取り入れていきました。

そして道教は日本で庚申信仰、陰陽道、修験道、風水と形を変え、以後江戸時代までほとんどの日本人が神道・仏教と併せて(と言うかそもそも別物という意識は無く)道教の日本版を信仰していました。

いわば、道教・仏教・神道の三つがいい感じに融合した状態が、1500年以上続いた日本人の伝統的な民俗信仰でした。

それが明治になると、日本政府が国策として日本古来の歴史伝統を無視した神仏分離、国家神道を始めてしまいます。

そして、これに調子付いた国粋主義者という知性と道徳の欠如した短絡的な馬鹿どもが廃仏毀釈という卑劣な文化破壊に及びます。

この中で明治政府は公式に庚申信仰を外来宗教・迷信として排斥し、仏教ほど大規模ではなかったものの、数多くの庚申塔が撤去されるなどの宗教弾圧が行われました。

しかしそれでも、長く日本人の心に根付いてきた庚申信仰は政府の弾圧くらいで滅びるはことなく、昭和初期まで日本各地で庚申のお祭が盛んに行われていました。

そして今でも、その文化が残っている地方が日本には沢山あります。


日本がいかに優れているかを外国人に褒めさせる恥知らずなTV番組観てセンズリこいたり、「日本はサムライの国」だとか軽薄な事を口にする前に、自分の生まれた国について知るべきことは沢山あると思いますよ。




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