カテゴリ
News! (90)
銃器 (60)
映画 (19)
音楽 (16)
言論 (32)
民生 (3)
阮朝 (2)
人物 (32)
式典 (3)
BB/歩兵 (29)
ND/空挺 (47)
KB/騎兵 (8)
PB/砲兵 (1)
TT/通信 (3)
QV/輸送 (2)
HQ/海軍 (9)
KQ/空軍 (10)
QY/衛生 (2)
QC/軍警 (6)
軍犬隊 (1)
FULRO (11)
デガ (25)
モン族 (15)
ヌン族 (9)
本土軍 (2)
コマンド (10)
SDECE (3)
1914-1918 (2)
1918-1939 (8)
1939-1945 (22)
1945-1954 (87)
1954-1975 (461)
1975-1989 (19)

2016年07月04日

参院選と日本国憲法

 今日は参議院選挙の期日前投票に行ってきました。今回は日本という国にとって特に重要な選挙なので、自公政権にきっぱり反対してれる政党に投票してきました。

 安倍首相はこの選挙で「憲法改正を争点にしない」と発言していますが、同時に「憲法改正は要綱・公約に明記してある」と、改正を強行する事を臆面もなく示唆しています。国民による唯一の審判の手段である選挙の時に目的を隠し、選挙に勝ったら国民の信任を得たと曲解し、この国の体質を決定する最も重要な指針を我が物にせんとする安倍政権・自民党・公明党の横暴に、私は一国民として非常に強い憤りを感じています。

 改憲派の論調として最も多用されるのが、「現在の憲法は太平洋戦争の敗北によって戦勝国アメリカに押し付けられたもの」であり、「今の国際情勢にそぐわない」、「日本人が誇りを取り戻すためには自主憲法が必要」というものです。確かに日本国憲法の草案、特に第九条『戦争の放棄』に関しては、当時のアメリカの意向に沿って作られたという事は否定できません。
 しかし、今日『自主憲法』を掲げる安倍政権の政治が、果たして日本の自主性を持ったものだったでしょうか?アメリカの要望に沿って秘密保護法を制定。アメリカの要望に沿って安保関連法を制定。アメリカの要望に沿って普天間基地の辺野古移転を強行。アメリカ軍による事故・犯罪が何度繰り返されようが、決して日米地位協定に触れる事なく「遺憾の意」と「再発防止を求める」だけ。
 これが果たして日本最大の保守政党、そして日本国の政権与党としてふさわしい政策でしょうか?彼らは一体誰のための政府なのでしょうか?そんな彼らが作る憲法が日本国民の総意を反映した『自主憲法』と呼べるものになるでしょうか?

 こんな事書いてると反米論者みたいに思われるかもしれませんが、むしろ僕はアメリカという国が大好きなんです。絶望的なまでの格差、矛盾、日本では考えられないほどの世論の分裂を抱えながらも、それぞれの層が口を紡ぐことなく常に意見を発信し続けられる風土を備えており、そんなひたすら前に進むアメリカという国の文化、力強さをとても羨ましく思っています。
 それに加えて僕は典型的なミリタリーマニアなので、アメリカ軍がだーい好き。家はアメリカ軍の軍装品だらけだし、さらには仕事中も英語のリスニング力向上をかねて毎日米軍ラジオ(AFN)を聞いてるくらいです。
 だけど、良きパートナーである事と、精神まで依存する事とは違います。まして、国民の命を駒にして他国に媚びを売るなんて、一国の政府として絶対にやってはいけない事です。

 また、特に安全保障の分野において、戦後日本の安全保障政策は時折「他の先進国では~」と否定的に比較されがちですが、その先進国の国々の憲法は、長年国民が権力の横暴と戦い、多くの犠牲者を生みながらようやく現在の場所までたどり着いたものなのです。しかしそれでも、人間の社会では常に個人は犠牲にされがちであり、憲法が目指す理想に対しては『先進国』であってもいまだに発展途上と言えます。
 僕は物心ついた頃からミリタリーマニアをやっていますが、この趣味を通じて学んだことは、人間の命がいかに『軽い』かという事です。強大な権力の前に人間個人の存在意義など無いに等しく、政府の政策一つで何万人が死んでしまいます。愛国心を語る政治家は、自国民の生活を救済する事よりも、敵兵を効率的に殺す兵器を開発する事に税金を使います。そして国民が死ねば、ここぞとばかりにその死をプロパガンダに利用します。
 そんな中で現在の日本国憲法は、制定された経緯はどうあれ、世界のいかなる国も辿り着けなかった崇高な理念を掲げているという点で、フランス人権宣言、アメリカ独立宣言に連なる世界で最も先進的な憲法だと私は考えています。この名誉と幸運を、なぜむざむざと手放す必要があるのでしょうか?

 古今東西、大衆が思考力を失い、力による支配を受け入れる『カルト』が発生する時、必ず行われるのが外敵による『危機感』と、集団への『帰属感』を煽る事。『カルト』は宗教団体に限った話ではなく、規模の大小問わず、国であれ会社であれ学校であれ、人間の集団は常にこのカルト化の可能性をはらんでいます。これは言い換えれば、「我々は正しく、奴らは間違っている」、だから「自分たちを誇り」、「愚かな敵を憎む」という呆れるくらい単純な発想です。しかし残念ながら、この幼稚なプロパガンダは心の弱い大衆にとって非常に甘い誘惑であり、いつの世も絶大な効果を発揮してしまう魔法の言葉、あるいは人類にかけられた呪いとも言えましょう。
 その一方で、我々の住む社会には、この低きに流れる人心に待ったをかける、良識ある人たちも少なからず存在します。選挙とは、一般人の生活とは無縁な為政者たちによる澱んだ密室に風穴を開け、そこに良識ある『代議士』を送り込むための空気の入れ替えであるべきと考えます。
 僕の一票なんて日本全体から見れば本当に些細なものですが、チリも積もれば山になるものです。つい7年前には、実際に政権交代が行われています。
 僕はこの記事を読んだ人が、他人が語る『憎しみ交じりの正義感』に流される事なく、自分自身の良心に従って投票に行って頂くことを心から願っています。


日本国憲法 前文

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。



人が、人としての幸せを味わい、老いて天寿を全うできる、この社会が守られる事を祈って。




同じカテゴリー(言論)の記事画像
人種とは?
SESSIION限定配信記事
ベトナム戦争観
あるベトナム残留日本人と家族の漂泊
ベトナム空軍神風部隊~トートン~浮世絵
マウタン1968(テト攻勢)から50年
同じカテゴリー(言論)の記事
 銀英伝2周目 (2023-01-15 23:36)
 夕陽之歌 (2022-04-13 09:50)
 人種とは? (2019-09-15 21:22)
 SESSIION限定配信記事 (2018-11-12 23:25)
 ベトナム戦争観 (2018-09-28 00:14)
 あるベトナム残留日本人と家族の漂泊 (2018-08-19 19:00)

Posted by 森泉大河 at 21:49│Comments(0)言論【日本】
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。