2017年06月01日
つるつるヘルメット
※2020/6/24訂正
『ベトナム軍のM1系ヘルメット その1』で少し書きましたが、ベトナム共和国軍では米国製M1ヘルメットに加えて、ベトナム国産のM1ヘルメットも1960年代半ば以降大量に使用されていました。このベトナム国産ヘルメットはオリジナルのM1と異なり、反射防止の砂吹付塗装が省略され、表面がツルツルなのが大きな特徴でした。
また塗装も米軍のようなオリーブドラブではなく、「青みがかった緑」のような色を多く見ます。例えるなら、昔の黒板の色とでも言いましょうか。
またレンジャー科・空挺科・空挺コマンドなどのエリート部隊や、歩兵科の一部ではこの国産ヘルメットに迷彩塗装を施したものも使われていました。その迷彩パターンは部隊によって様々ですが、当時の写真からは、迷彩を描きこんだ上に塗装面を保護するためのクリアーコーティングが施され、ツルツル感が一層増している物が多く見られます。ただし一部では明らかにクリアーが吹かれていないものも見ますし、また前線ではヘルメットは大抵泥や土埃をかぶって汚れているので、表面がどういう仕上げなのか写真からでは判断できない例も多々あります。

ベトナム軍装やるからにはこの国産ヘルメットは喉から手が出るほど欲しいアイテムなのですが、あれだけ大量に使われていたこのヘルメットの実物は、不思議な事にほとんど市場に流通していません。みんな戦後に回収されて、溶かして鍋だか鍬だかにリサイクルされちゃったのかな。
ちなみに、欧米や日本で『実物ARVNヘルメット』として売られているヘルメットはほぼ全て米国製M1であり、しかも揃いもそろって「売れそうな」60年代のレンジャー科の黒豹黒虎マーキングが描かれているので、ほとんどは戦後に業者が作ったフェイクだろうなと思っています。徽章やベトナムジッポーにも言える事ですが、真贋を見極める上で「ベトナムの倉庫で見つかった」という触れ込みはほとんど意味を持ちません。だってベトナム人は外国のマニアが高い値段で買ってくれるのを知っているから、実物を装ったフェイク品を作りまくってるもん。マニアと言ってもピンキリだから、ベトナムで見つかった=本物と信じて大金払う人が沢山いるんです。僕も昔は、今見るととんでもない低品質のニセモノに高い金出してました。まぁ、マニアの世界は自己責任なので、自分の眼力が足らなかったと反省するしかないです。
話を本題に戻して、この国産ヘルメットの実物はたぶん今後もそうそう手に入らないので、コスプレ用に自分で作る事にしました。幸い形状は米軍のM1と全く同じっぽいので、Amazonで買った激安レプリカM1を素材に出来ます。

開封して即、ペイントリムーバー(塗料はがし)をハケで塗布。

数十分で塗装面はデロデロ。あとはワカメみたいに柔らかくなった塗装面をスクレーパーやスポンジタワシで落としていきます。

綺麗になりました。このレプリカ、米軍用としては値段なりにショボいですが、つるつるヘルメットの素材としては申し分ないです。
さて、ここから塗装を施していきます。まず、金属面にそのまま塗装すると塗料の食いつきが悪くて剝がれてしまうので、メタルプライマー(金属用下地塗料)を塗布します。今回は塗料も一緒に模型屋に買いに行ったので、プラモ経験者にはお馴染みGSIクレオスのMr.メタルプライマー改 スプレータイプを使いました。
次に塗料を調色します。今回は1回目という事で、まず基本の「青緑」塗装を再現する事にしました。とは言え実物が手元に無く、ネットでも実物コレクションを載せているページは見つからなかったので、色は当時のカラー写真を見ながら推測で作るしかありませんでした。
ヘルメットは野外のリエナクトメントで実用するものなので、塗装が簡単には剥がれないよう、被膜が強いラッカー系のMr.カラーを使いました。色は、今後も調色する際に分かりやすいよう、シンプルにのブラック、ブルー、グリーンの三色を使ってみました。
写真を見ながら調色していった結果、結局比率はブラック、ブルー、グリーンそろぞれ1:1:1くらいが丁度良くなりました(※下に追記あり)。ただし色に関しては光の具合でいくらでも違って見えてしまうので、今後も検証が必要だと思っています。これをエアブラシで吹くので、うすめ液を1:2で入れて希釈します。
約9年ぶりにエアブラシを使用。実はこのエアブラシとコンプレッサーは、元々は僕が買ったものですが、僕がプラモを作らなくなったので友人に煙草1カートンと引き換えに譲った物です。しかし今回ヘルメットを塗装するにあたって調色した塗料を広い面積に塗る必要があったため、急遽友人に「あのエアブラシまだある?」と連絡を取って借りてきました。なんでも友人も、家が新築だし、まだ小さい子供が二人もいるわで、とてもプラモを作る余裕は無く、このエアブラシもほとんど使っていなかったそうです。でも家に行ったら、まだ作っていないガンプラの箱は何個も積んでありました。奥さんに捨てられないよう気を付けてね~(笑)
いざ塗装開始。エアブラシで何度も重ね塗りしていく。思った以上にヘルメットって塗る面積が広くて、ブラシのサイズを最大にしても全然塗り進まない。その上塗料をえらい消費します。結局塗料は計50ml、うすめ液は100mlくらい必要でした。スケールモデルの感覚でやっちゃダメですね。
色付けが終わったら、つるつる感を出すためにMr.スーパークリアー 光沢を塗布。そして最後に、コンパウンドとして金属磨き用のピカール液をウエスに付けて磨いていきます。この磨き作業をする為に、被膜の弱い水性ではなく、強度の高いラッカー系の塗料・クリアーを使いました。おそらく実物も水性ではなく、ラッカー系で塗装されていたと思います。

これでようやく完成。つるつる感は出せたと思います。

再度比較。色に関しては光源の違いや塗装面の変色、汚れ具合、写真の変色も加味しなくてはならないので、まだ僕自身、明確な答えは出せていません。ゼロ戦の塗装色ですらいまだに論争が続いているくらいですから、色の再現というのはやりだしたら切りがない世界なのですよね。
幸いヘルメットというのは汚れていて当たり前の物なので、野外で使う時はまず、泥まみれにして色をうやむやにしちゃいましょう(笑)
<追記>

あと4個作ります。
※2017年7月10日追記

その後何度か色の調整を繰り返した結果、ブルー5, ネイビーブルー4, グリーン1, ブラック1くらいの比率(全てMr.カラー)が今のところベターかなと思ってます。
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