2021年04月06日
配布物
東南アジアの軍装を趣味にしていると、実物はおろかレプリカすらなかなか手に入らない物品が多々あります。
と言うか、レプリカが山ほど出回ってる日米独等だけが異常に恵まれてるのであって、基本的にはレプリカなど望めないのが普通なんですよね。
そして欲しいものが売ってない場合、選択肢は「諦める」か「自作する」しかないので、僕はこれまで、こういった品々を自作してきました。
これらは僕個人でコスプレをする上では十分なのですが、他方で、リエナクトや撮影会は集団芸なので、できれば自分以外の人にも同じ物を身に着けて欲しいと思ってしまいます。
とは言え、他の人に「あなたも自作して」と求めるのは無駄だし厚かましい。
なので僕は、自分の好きな軍装を集団で着るという願望を叶えるために、仲間の分も自作して(有料ですが)配布しています。
以下、最近作った物
ベトナム陸軍迷彩ヘルメット
先日制作した4代目迷彩ヘルメットと同じ製法で、友人からの依頼分を塗装しました。


今回見本としたのは1971年当時に空挺師団で使われていたリーフ系パターンの一つですが、ほぼ同じ迷彩ヘルメットがレンジャー部隊や第81空挺コマンド群、一部の歩兵部隊でも使われているので、空挺以外にも使いまわす事が出来ます。
クメール陸軍第23歩兵旅団パッチ
こちらは頼まれてないけど、付けて欲しいので勝手に作って送りつける物。

3年ほど前にFANK第294猟兵大隊パッチを制作しましたが、その時は左袖に付ける(294大隊の親部隊である)第23歩兵旅団のパッチが手に入らなかったので、軍服の左袖(本当はこちらがメイン)がずっと空白のままでした。
ところが最近、ようやく23旅団に関する資料が手に入ったので、さっそく自家製プリントパッチに起しました。
これでようやく旅団・大隊のセットが揃ったので、これまで294大隊パッチを渡した人には、有無を言わさずこの23旅団パッチも付けてもらおうと思います。
自分用のパッチは、さっそく服に縫い付けました。

当初、ヘルメットに髑髏の鉢巻きという294大隊の軍装はあくまでイロモノであり、ちゃんとした(典型的な)クメール陸軍歩兵の軍装はまた別に作るので、294大隊のパッチはたまたま持っていたエクアドル製のTCU風ジャケットに付けていました。
しかしいくらイロモノとは言え、せっかく手間暇かけて徽章を作った以上、明らかに裁断が違う服を使うのはもったいないと感じるようになったので、あらためてロスコ製BDU改造のクメール軍野戦服(隠しボタン型)に付け替えました。
ちなみにこの服の設定は、『第9歩兵旅団群第23歩兵旅団第294猟兵大隊』という長ったらしい部隊名です。
歩兵旅団群(Groupments Brigades d’Infanterie)とは、クメール陸軍が1970年に新設した編成単位です。
それまで(王国時代の)クメール陸軍の兵力は、全国で数十個の猟兵大隊(Bataillon de Chasseurs=軽歩兵大隊)が独立して存在する程度であり、師団はおろか連隊すら存在していませんでした。
しかし1970年にロン・ノル将軍によるクーデターを機にカンボジア内戦が勃発すると、陸軍は組織改編と兵力の増強を開始し、間もなく歩兵旅団(Brigades d’Infanterie)を創設して、各地の猟兵大隊を18個の旅団にまとめます。
更にその直後(1970年中頃)、人数が少ないので師団とまでは行かないものの、歩兵旅団の上位に、各2個の歩兵旅団から成る歩兵旅団群を15個創設しました。
以後、陸軍は『歩兵旅団群―歩兵旅団―猟兵大隊』を基本的な編成単位として拡大していきます。(さらに1972年からは歩兵旅団群を拡大した歩兵師団(Divisions d’Infanterie)も順次創設)
野戦服に付けるインシグニアは、今回の作例のように、基本的にはメインとなる左袖に旅団パッチが付き、右袖は大隊等の下部部隊となるようです。ただし右袖にパッチを付ける事自体が稀であり、基本的には左袖の旅団パッチのみの場合が多いように見受けられます。
また、これも稀な例ですが、左袖に旅団ではなく、その上位の旅団群のパッチを付けている例もあります。

第7歩兵旅団群パッチの着用例
今までのところ、僕が確認している旅団群パッチの着用例は、兵士が皆迷彩服を着ているので、もしかしたら彼らは歩兵旅団/猟兵大隊に所属する普通の歩兵ではなく、旅団群本部付きの偵察中隊やコマンド隊員なのかも知れません。
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