2018年05月15日
タイガーストライプの始まり Part 3
※2022年10月29日更新
●ザーコップ迷彩服が採用されたのは1960年
●ザーコップ迷彩服が50年代中に支給されていたと断定できる写真はまだ発見されていない
ところが先日、その認識を覆す写真が見つかりました。

(写真: Rừng Cấm / Facebook)
元ベトナム海兵隊ズン・カム中士が公開している自身のプライベート写真の中の一枚なのですが、この写真についてカム中士は以下のようにコメントしています。(2016年11月26日書き込み)
"Người đứng đầu tiên là Đồ Sơn đó, vào khoảng thời gian 1958 "
(手前の人物はドゥ・スン・ドー、1958年頃)
プライベート写真なので本人の記憶以外に撮影日時を裏付けるものは無いのですが、当時この部隊に所属していた人物の証言なので、その信憑性は高いかと思います。
確かにTIGER PATTERNS (1999)に掲載されているように、ザーコップ迷彩服は最も早いもので1957年製造のスタンプが確認されているので、1958年の時点で現場に支給されていても、何らおかしくはありません。
また僕が「ザーコップ採用は1960年」の根拠としたチャン・バン・ヒェン元中佐の証言も、それまで試験的に支給が行われていたザーコップ迷彩服が正式に採用されたのが1960年だったというだけで、実際の使用開始時期が1960年だった訳ではないとも解釈できます。
という訳で今回の発見により、ザーコップ迷彩服は遅くとも1958年頃には(部隊ごとに支給状況は異なるでしょうが、少なくとも一部では)既にまとまった数が使用されていた可能性が高いという認識へと訂正させて頂きます。
※その後の調査の結果、ザーコップ(タイガーストライプ)は1957年に導入されたとわかりました。

前記事では60年代初頭の可能性もあるとしたこれら旧型パッチ(1955-1960)付きの写真も、50年代中にザーコップの支給が始まっていたことを考えれば、50年代末の撮影と見るのが自然かも知れません。
おまけ:テコンドー章
新たな発見という意味では、こちらの徽章の存在も、最近ベテランから教わって初めて知りました。

元ベトナム陸軍特殊部隊将校のフォー・コック・ユン氏によると、こちらの徽章はベトナム共和国軍のテコンドー資格章(Bằng Taekwondo)であり、なかでも左の人物が付けている大きな白っぽい図柄の上に二つの点(星?)がある物は『黒帯二段テコンドー章』だそうです。
右の空軍兵士の写真は「なんか見覚えあるな」と思って自分のHDDの中から探し当てた物なので特に説明はありませんが、上側に点はありません。初段かな?とも思いましたが、初段の次は二段なんだから、初段は点1個じゃないと変じゃないか?という疑問も湧いてきます。
なお、1960年代以降、ベトナム共和国軍は軍の徒手格闘訓練にテコンドーを全面的に採用しており、将兵のほぼ全員が一度はテコンドーを経験したはずですが、僕も今まで把握していなかったくらいこのテコンドー章の使用例は少ないので、おそらくこれらのテコンドー章は黒帯(初段)以上の者だけに与えられたのだろうと推測しています。
いずれにせよまだ詳細な画像すら見た事の無い謎の多い徽章なので、これから調べていきたいと思います。
地方軍カントー訓練基地における徒手格闘訓練(1967年5月6日)
※動画のキャプションには『空手』と書いてありますが、韓国人インストラクターが教えているとも書いてあるので、正しくはテコンドーでしょう。
ドン・バ・シン特殊部隊訓練センター内のテコンドー道場 (1970年6月23日)
この時代、テコンドーはまだ日本式の道着を使っていたから、普通に国内で売ってる道着を買えば、テコンドー訓練ごっこが出来るんです。たしか高校の体育で使ってたやつをまだ持ってるはずなんだけど、どこ行っちゃったんだろう・・・?
この記事へのコメント
こんにちは(^^)
このテコンドー徽章とほぼ同じデザインのものを今も韓国軍が使っているみたいですね。
このテコンドー徽章とほぼ同じデザインのものを今も韓国軍が使っているみたいですね。
Posted by kame at 2018年05月16日 09:23
kameさん
ご無沙汰しております!それは興味深い情報です。
一応、この記事を書く時に、もしかしたらこれは韓国軍の徽章かもと思ってネットで検索したのですが、その時はそれらしい物が見つからなかったので、記事では触れませんでしたが、やはりありましたか。
改めてkameさんの書き込みを見て、今、韓国軍に詳しい知人に詳細を問い合わせているので、近いうちに補足・訂正を書けたらなと思います。
ご指摘いただきありがとうございます!^ ^
ご無沙汰しております!それは興味深い情報です。
一応、この記事を書く時に、もしかしたらこれは韓国軍の徽章かもと思ってネットで検索したのですが、その時はそれらしい物が見つからなかったので、記事では触れませんでしたが、やはりありましたか。
改めてkameさんの書き込みを見て、今、韓国軍に詳しい知人に詳細を問い合わせているので、近いうちに補足・訂正を書けたらなと思います。
ご指摘いただきありがとうございます!^ ^
Posted by 森泉大河
at 2018年05月17日 12:21

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