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2023年04月15日

祝リプロ・インビジブル発売

※2023年4月22日更新

先日、ベトナムのリプロメーカーĐồ lính Cộng Hòa(以下ĐLCH)が、恐らく史上初のベトナム軍インビジブルリーフ(初期ERDL/ホアズン)迷彩のリプロを発売しました。
正直、過去のĐLCHの迷彩服はただ値段が安いだけが取り柄で、僕の感覚では再現度は60~70点くらいのレベルだったのですが、今回のインビジブルは、宣伝写真を見る限りなかなか良さげでした。
しかし当時インビジブルのジャケットは主にヒュエット(ブラッドケーキ)と同じ空挺型で生産されたのにも関わらず、ĐLCHのラインナップには当時少数派である2ポケット迷彩服型(あるいは海兵型)しかありませんでした。
そこでĐLCHにお願いして特注で空挺型(風)を作ってもらっちゃいました。
そして届いた品がこちら。この日が来るのを20年近く待ってたよ!


これは良い!期待以上!
60点メーカーとか言ってゴメン!
迷彩の再現度的にはほぼ100点満点。
生地は相変わらず薄手のポリ混紡だけど、値段を考えれば十分。
生地に関しては、ĐLCH店主自身も努力したけど良いコットン生地が手に入らなかったと悔しがっていたので、今後良い生地が手に入れば改善するそうです。

また、当時インビジブルのパンツは空挺型ではなく普通のベイカー型が主だったと思いますが、今回はあえてベイカー型+カーゴポケット付きで作ってもらいました。



カーゴポケット付きはあくまで少数派ですが、使用例が一定数見られます。


僕はすでに以前、民生ハンティングウェアを改造した2ポケット型ジャケットベイカー型パンツインビジブル迷彩服を1セット作っているので、今回はまだ持っていなかったカーゴカーゴポケット付きをĐLCHに依頼した次第です。

早くインシグニアを縫い付けて写真撮りたいなface02
  


2023年02月15日

作成中の服

こう寒いと外で撮影会をする気にならないので、冬は物品収集に専念してます。
その中で、まだ一式は揃っていませんが、完成する目途が立った軍装を予告的に公開。

①ベトナム陸軍第1空挺大隊 副大隊長ド・カオ・チ中尉 夏季勤務服(1951-1954年)

▲左から2番目がド・カオ・チ


僕の一番好きなベトナム軍人であるド・カオ・チ大将の中尉・第1空挺大隊時代の夏季勤務服を作成中。
上着は米軍半袖チノで代用。第1空挺大隊の徽章・ベレー章は過去記事ステホ10の時に揃えてあるので、あとは階級章を自作すればすぐにできそうです。


②ベトナム陸軍特殊部隊(1963-1964年)



発足当初の特殊部隊(LLĐB)の軍装です。
LLĐBはジエム総統直属の特務機関として仏教徒危機で学生とかお坊さんをボコボコに殴ってたら、ミン将軍のクーデターでLLĐB司令タン大佐はジエム総統もろとも暗殺発足から1年経たずしてLLĐB本部は解体。翌年には新体制下で再スタートできたけど、ベレー・徽章類はその時変更となったので、この黒ベレーはとても短命に終わったスタイルです。(過去記事『LLĐBのベレー』参照)
服は民生ハンティングウェアですが、60年初頭の特殊部隊は同型の米国製ハンティングウェアが多数使われていたので、無改造で使うものありだと思っています。


③ベトナム派遣タイ陸軍義勇連隊クイーンズコブラ(1967-1968年)




タイの刺繍屋にオーダーしていた徽章一式がようやく完成したと知らせが来ました。ここまでの道のりは長かったんですよ。
バンコクにベトナム戦争時代に実際にこれらの徽章を作っていた刺繍屋があるので、そこに頼もうと思っていたら、店主が高齢で、コロナが怖くて店を閉めてしまったそうなんです。なので店を探すところからやり直し。
幸いタイの友人がバンコクではない他の街に古い刺繍屋を見つけてくれたので、そこに頼むことが出来ました。到着が待ち遠しい!

  


2023年01月20日

ベトナム国産キャンバスブーツ

僕はコレクターではないので実物軍装は集めていないのですが、先日コレクターの友人が、「同じの何個も持ってるからあげるよ」と言って、こんなブーツをプレゼントしてくれました。


過去記事『キャンバスブーツ』でも少し触れましたが、このブーツはベトナム共和国軍で使用された、ベトナム国産と言われるキャンバスブーツです。
全体的にMDAPキャンバスブーツ(丈長)をオリーブ色生地に変えただけのような印象ですが、米軍ジャングルブーツの影響か、斜めに補強の生地が縫い付けられています。
一方、敵である北ベトナム軍のキャンバスブーツも似たような斜めの補強が入っているので、奇しくも南北両軍ともよく似たデザインになってしまいました。

この個体にはスタンプはありませんが、他のコレクターの所蔵品には"KO/3259 2-8-74"および"PHAM THI KINH"というスタンプの入った個体が確認されています。
KO/3259 2-8-74の"74"は恐らく1974年契約を意味すると思われ、実際当時の写真を見ても、終戦間際の短い期間のみ使用例が見られます。

▲ベトナム海兵隊の着用例[1975年]

▲サイゴン陥落後、降伏したベトナム共和国軍が脱ぎ捨てた軍服の中に、今回のキャンバスブーツが多数見られます。[1975年]

解説としては、これくらい。
入手するのはそんなに難しくありませんが、使われた期間が短いため、あまり情報の無いアイテムです。
  


2022年11月26日

3/4カラーボディーアーマー

※2022年11月27日更新
※2022年12月4日更新

最近米軍の3/4カラーボディーアーマーを入手したので、以前から持っていたRVNAF 3/4カラーボディーアーマーと比較してみました。

3/4カラーボディーアーマー(Armor, Body, Fragmentation Protective, With 3/4 Collar以下3/4カラー)は、マニアの間で「M69」と誤った呼び方をされていますが、本物のM69は、この3/4カラー(ジッパー留め)をベルクロ留めに改良したモデル=M69 3/4カラーボディーアーマーの事です。

RVNAF 3/4カラーボディーアーマー(Armor, Body, Fragmentation Protective, With 3/4 Collar (RVNAF). 以下RVNAF)とは、米国がベトナム共和国軍(RVNAF)に供与するため、自国のM69 3/4カラーボディーアーマーをアジア人向けにスケールダウンして生産したモデルで、1970年代に供与されたと考えられています。

以下、写真は左が米軍の3/4カラー、右がRVNAFです。


両方ともサイズはミディアムという表記ですが、明らかに大きさが違います。
RVNAFの方は説明書がベトナム語で書かれていますが、米国政府の予算で作られた物なので、米軍装備と同様FSNとDSAナンバーが入っています。



胸のループは6割くらいの長さに短縮




サイズ調整の鳩目は3/4カラーが5穴、RVNAFが4穴




おまけ:ボディーアーマー用水筒

これは私の所持品ではなく知人のコレクターから頂いた写真なのですが、ベトナム戦争当時、ベトナム共和国軍では米軍1クォート水筒を国産化したもの(右)に加えて、PX品として左のような小さい水筒も使われていました。
この水筒は水筒ポーチ(キャンティーンカバー)ではなく、ボディーアーマーのポケットに入れるために小型化したアイディア商品だそうです。

浮彫文字の意味

[上段]
官給・PX共通: CHỈ ĐỂ ĐỰNG NƯỚC. TRÁNH NGỌN LỬA VÀ VỈ LÒ NÓNG  (水専用 炎および熱したコンロから離す事)
↑米国製水筒の注意書きをそのままベトナム語に翻訳したもの

[下段]
・官給:Q.L.V.N.C.H (ベトナム共和国軍)
・PX:BÌNH NƯỚC NHỎ CỦA QUÂN NHÂN (軍人用小型水筒)


ボディーアーマーのポケットに水筒を入れている例 (1972年アンロクの戦い)
  


2022年11月13日

野戦警察の迷彩ヘルメット その2

その1で筆塗りしたものがこちら。


これをペイントリムーバーで全部洗い落としてやり直し。
前回は筆塗りだったけど、今回は紙で迷彩模様のステンシルを作ってエアブラシで塗っていきます。


その結果がこちら。


ベースの色をミスりました。これでは緑色過ぎます。
でも迷彩模様は悪くないので、ステンシル作戦自体は成功。

そして、また塗装をやり直したのが、こちら。


ようやく自分的に合格点に達しました。このウグイス色を出すのが難しかったんです。

今回見本にしたヘルメットはこちら。




  


2022年11月07日

野戦警察の迷彩ヘルメット その1

ベトナム国家警察野戦警察隊では、迷彩服と同じホアマウダット(クラウド)迷彩柄の塗装が施されたヘルメットの使用例が散見されます。

色合いは迷彩服同様、茶系から緑系まで様々だったようです。

前々からこの迷彩ヘルメットを作ろうと思っていたのですが、つい最近押し入れから、買ったきり使っていないM1系ヘルメット(北欧のどっかの国)が出てきたので、これを素材に塗る事にしました。

まずは手持ちの迷彩服を見ながら、模様を鉛筆で下書き。



そしてMr.カラーで塗るとこんな感じ。今回は僕の好みで緑系に塗装しました。


う~ん、なんか気に食わない。
僕は迷彩服のパターンを見本にしたので5色使ったけど、写真の例をよく見ると4色(うち茶色は1色)しか使ってない!?

やめだ、やめ。
こうなったらペイントリムーバーで全部落としてやり直します。

つづく
  


2022年10月29日

タイガーストライプの始まり Part 4

過去記事『タイガーストライプの始まり Part 3』にて、1958年撮影とされるベトナム海兵隊の写真にザーコップ(タイガーストライプ)迷彩服が写っていると紹介しました。また、その記事を書いた時点では、その写真が僕がザーコップの使用例を確認した一番古い時代の物でした。
しかし先日、1957年の国慶日(10月26日)パレードの映像を見ていたら、普通にザーコップを着ている海兵隊が写っていました。



動画からのキャプチャなので不鮮明ですが、服は最初に生産されたザーコップ迷彩服として知られる、VMX/エクスペリメンタルパターンの仏軍TTA47型(より正確には、上着は軽量型TTA47/52)で間違いないと思います。この服は1957年製造スタンプが確認されているので、1957年の映像に写っている事とは矛盾しません。(過去記事『ザーコップ:ベトナム海兵タイガーの分類』参照)


また、左袖に付いているパッチは当時の海兵隊で唯一の歩兵部隊である第1上陸大隊(Tiểu Đoàn 1 Đổ Bộ)のものです。



この記事シリーズのPart1である『タイガーストライプの始まり』に挙げた、「1960年以降、海兵隊の戦闘服は『虎の皮(da cọp)』として知られる緑地に黒色の波の迷彩となった。」というチャン・バン・ヒェン中佐による記述から、僕はザーコップ迷彩の制式採用は1960年であり、それ以前は試験的な配備だと当ブログで書いてきました。
しかし今回の1957年の映像を含め、1950年代中に多数のザーコップの着用例が見られることから、実際には試験か制式かなんて関係無く、シンプルに1957年採用と考えた方が良い気がしてきました。





この記事を書くにあたってPart1を書いた日付を見直したら、2013年。「タイガーストライプの始まり」というテーマを掲げてから、9年もかけてようやく本当の始まりらしき部分にたどり着きました。
いや、 ジョンソンのタイガー本には最初から1957年製の写真が載っているのだから、素直にそういうものだと思ったらよかったのですが、僕は興味のある事は自分で調べないと気が済まない性格なので、納得するまでにこんなに長い年月がかかってしまいました。

  


2022年08月24日

レプリカベレーとテーラータグ

※2022年8月28日更新


以前、ベトナム共和国軍のベレーについて「テラータグが有るから実物」と言われているのを聞いたことがあるのですが、全くそんなことは無く、むしろ出来の良いレプリカベレーのほとんどは当時風のテラータグを備えています。一方で、実物にはテラータグが無い物もあるので、テラータグの有無は真贋の基準にはなりません。
以下、僕の手持ちのレプリカベレーの中でも出来の良い物と、そのタグになります。

空挺部隊およびNKT



レンジャー部隊




装甲騎兵(下士官)





特殊部隊および第81空挺コマンド群





海兵隊(兵卒 1956-1966)




トゥドゥック歩兵学校




紺色ベレー(ベレー章無し)




ついでに、テラータグを備えていないレプリカベレーはこちら

特殊部隊マイクフォース



陸軍一般兵科(1954-1967)

このベレーは実物っぽい雰囲気ですが、サイズA3のスタンプが押されています。
AはÁo(上着)の略なので、帽子のサイズとしては不適当であり、本来はAやQ(Quần:パンツ)といったアルファベットのない、単なる『3』という表記のはず。
まだはっきりレプリカだと断定はできませんが、僕は疑わしく思っているので、今回はレプリカの一種として掲載しました。
  


2022年08月19日

ベトナム国産SMGアンモポーチ

先日、EA社からベトナム国産SMG用アンモポーチ(チェストリグ)のレプリカが発売されたので、早速購入しました。



このアンモポーチのレプリカが登場してくれるのを十数年間待っていた、と言うか、まさか本当に商品化される日が来るとは思っていませんでした。
EA社とは以前、代金を支払ったのに半年も商品を発送せず、結局注文キャンセルとなったというトラブルがあったので距離を置いていましたが、今回ばかりはこのレプリカを発売した心意気に感謝せざるを得ません。
ただし、また直接取引するのは嫌なので、今回は日本でEA社製品を扱っているベースエクスチェンジさんを通じて購入しました。


このアンモポーチはチェストリグ式ですが、ポーチが二つベルトで繋がっており、体の前後にポーチを下げるように出来ています。


またベルトを外してポーチ単体をピストルベルトに吊るす事も可能です。



なお、このポーチは当時の写真では(特に国家警察で)使用例が多数見られるものの、なぜか現存数は異様に少なく、長年インターネットを見回しても、まだ実物が紹介されている例は見たことがありません。
なのでEA社が実物を入手ないし細部を確認したとは考えにくく、このレプリカは当時の写真からおおよその形状を再現したものだろうと僕は考えています。

  


2022年08月04日

我が家のキャロット

これまでコスプレ用にいくつかキャロット(仏語でギャリソンキャップの意)を買ってきたものの、いまだに着用して撮影したことがありません。
なので今回は話の種に、キャロット単体でご紹介。


①フランス植民地軍歩兵部隊Mle46キャロット(デスボランティア製リプロ)

第一次インドシナ戦争~アルジェリア戦争で使われたキャロットの植民地軍仕様。錨のバッジ以外は陸軍と共通。
赤い色は歩兵の兵科色で、植民地軍の場合は植民地歩兵部隊を意味します。


②フランス植民地軍Mle47キャロット(フランス製リプロ)

第一次インドシナ戦争~アルジェリア戦争で使われた熱帯用キャロットの植民地軍仕様で、こちらも錨のバッジ以外は陸軍と共通。
上のMle46と違って兵科色を示さないので、どの兵科でも被れる便利な帽子です。


③アメリカ陸軍カーキギャリソンキャップ(実物)

フランス軍Mle47キャロットの代用品として買いました。Mle47キャロットは米軍ギャリソンキャップのコピーであるため、代用にはもってこいです。
上で述べたように錨なしのキャロットはフランス陸軍仕様であるのに加え、第一次インドシナ戦争期のベトナム陸軍や支援軍(民兵)でも着用されました。
またベトナム戦争期には陸軍ではキャロットは廃止されていたものの、一方でMle47と同様のカーキ色キャロットがベトナム海軍や人民自衛団(民兵)の一部、学生向け軍事教練プログラムで着用されました。


③アメリカ空軍士官ギャリソンキャップ(実物)

ベトナム空軍士官キャロットの代用品として買いました。
第2次大戦後にアメリカの支援によって創設された西側諸国の空軍同様、ベトナム空軍のキャロットも見た目はアメリカ空軍の物と瓜二つです。


ちなみにキャロット(Calot)はフランス語ですが、ベトナム共和国軍ではCalotをベトナム語読みして"カロット帽( Calot)"と呼んでいたようです。

▲Huấn Lệnh Điều Hành Căn Bản (1969)より

Calot自体に帽子という意味があるのでカロット帽だと意味が重複していますが、日本語でもベレー帽とかマスケット銃とかチゲ鍋とか言うように、外国語を輸入するとこういう事ってよく有りますよね。

  


2022年07月25日

ベトナム警察の制服と階級章

※2024年9月21日更新

今回はベトナム共和国の警察の制服、中でもいわゆるお巡りさんの着る勤務服の変遷をまとめました。

なおベトナム共和国の警察組織は、時期によっていくつかの組織・名称に分かれます。
1955~1962年までベトナムでは警察(Cảnh Sát)』が『公安警察総局(Tổng Nha Cảnh Sát Công An)』の下部組織でした。
その後、1962年になると公安警察総局に代わって国家警察(Cảnh Sát Quốc Gia)』が発足します。



制服(勤務服)の変遷



1st (1955-1962)※公安警察総局期
制帽: 白
シャツ: 白(長袖)
パンツ: 白

2nd (1962-1966)これ以降国家警察
制帽: 白
シャツ: 白(半袖)
パンツ: 白
1st~2nd期は全身白い制服を着ていたため、ベトナムに派遣されたアメリカ兵たちは街のベトナム人警察官たちを『ホワイトマウス』とあだ名した事が知られています。そのイメージが強いせいか、映画フルメタルジャケットではサイゴン市内で交通整理をしている警察官がこの白い制服を着ていますが、映画の時代設定である1968年には白制服は廃止されていたので時代考証的には誤りです。

3rd (1966-1971)
制帽: ライトブルーグレー
シャツ: 白(半袖)
パンツ: ライトブルーグレー

4th (1971-1975)
制帽: ブルーグレー
シャツ: ブルーグレー(半袖)
パンツ: ブルーグレー
なお内勤者では引き続き白シャツ(半袖)の着用例が多く見られる。


階級章の変遷



過去記事『国家警察の階級』も参照

ベトナム警察の階級システムおよび階級章は大きく分けて3つの時代に分けることが出来ます。

1st (1955-1962) ※公安警察総局期
公安警察総局期の階級章に関しては、まだ資料が手に入っていないので、今回は割愛しています。

2nd (1962-1971)
1962年制定の国家警察前期階級章は、1971年まで基本デザインは同じですが、1966年の制服改定(3rd制服導入)に伴い、パッド型からスリップオン式肩章に変更されています。

3rd (1971-1975)
1963年11月の軍事クーデター以降、国家警察は軍の指揮下に置かれており、国家警察総局総監を始めとする警察幹部の大半は軍からの出向者が務めていました。ベトナム戦争が激化すると軍と国家警察の同化はますます進み、1971年には新たに4thの制服が採用されるのと同時に、国家警察の階級システムおよび階級章のデザインも陸軍式に切り替わります。またこの1971年制定階級章では、台布の色でその人の身分が警察官(国家警察正職員)か、軍人(国家警察出向者)かを表すようになりました。
  


2022年01月21日

LLĐBのベレー

※2022年10月20日更新

今まで謎だった初期のベトナム陸軍特殊部隊(Lực Lượng Đặc Biệt)のベレーに関する写真や情報が、最近ある程度集まってきたので、暫定的なまとめを記事にします。
なお、色や徽章が切り替わった時期については写真からの推定なので、今後の資料次第ではまた変わってくる可能性があります。

※初期のLLĐBの組織については過去記事『NKTとSOG 越境特殊作戦部隊の歩み[1]』参照

ベレー色

・1st: 赤(1957~1964年?)

初期のLLĐBベレーは赤色だったという噂レベルの話は前々から聞いていたものですが、ついにカラー写真が出てきました。
残念ながらこの写真の具体的な説明や撮影年は不明ですが、ベオガム(ダックハンター)系迷彩が支給された部隊はLLĐB(前身の第1観測群含む)かCIDGしかないので、写真の雰囲気からしてLLĐBと考えてよいと思います。
ちなみに兵士の持っているサブマシンガンはドイツ製のMP40!50年代にフランス軍コマンドが使っていたものの残り物だと思いますが、この年代で見られるのはとても珍しいです。


・2nd: 黒(1963~1964年?)

▲トゥアティエン省ナムドン特殊部隊キャンプ [1964年5月]
1963~1964年頃の短期間のみ見られるのが黒色のベレー。
一説によると、1963年3月に特殊作戦を統括する地理開拓局がLLĐBへと改編され、レ・クアン・タン大佐が初代LLĐB司令に就任すると同時にこの黒ベレーが導入されたとの事です。
しかし1963年11月クーデターにおいて、ジェム総統の側近であったLLĐB司令官タン大佐はジェム共々暗殺され、1964年後半(?)にはタン大佐時代に導入された黒ベレーや徽章も廃止されました。


▲クアンガイ省ザーブク特殊部隊キャンプ [1964年5月]
なお1963年に黒ベレーが導入された後も、一部では赤ベレーが引き続き着用されていたようで、1964年の写真では赤と黒両方の色のベレーが見られます。
※ちなみにベレーとは関係ないですが、この写真、1964年中にERDL(インビジブル?)迷彩服が写っているすごい貴重な例です。


・3rd: 暗緑色(1964~1975年?)

 
クーデター後の1964年、LLĐBは軍事政権の下でその組織を大幅に改編し再出発します。
これに伴いジェム政権/タン大佐期のベレーも廃止され、1964年後半~1965年頃にかけて新たに導入されたのが米軍グリーンベレーに倣った暗緑色のベレーです。こちらは終戦まで以後約10年間着用されました。


ベレー章

・1st(?): "1"のバッジ(1957年-?)

とある研究者によると、1957年にベトナム軍初の特殊部隊として創設された第1観測隊(翌年から第1観測群)では、部隊番号の1を意匠としたベレー章が使われたとされています。ただし僕は画像では未確認です。

・1st(暫定): ベトナム国土・翼・赤星(?-1961年)

▲第1観測群チャン・フック・ロック上士
北ベトナムへの潜入作戦に参加し、1961年7月2日に戦死したロック上士の写真で、着用例が確認できます。
詳細は初代(暫定)LLÐBベレー章』をご覧ください。


・2nd: 空挺部隊(1961-1963?)

第1観測群/第77群司令ファム・バン・フー [フートーの第77郡本部にて。1961年]
第1観測群が第77群に改名された1961年になると、第77群では空挺部隊と同じパラシュートに翼の意匠のベレー章が見られます。
またこの時期はベレー色も赤なので、1963年に地理開拓局LLĐBへと再編され新たなベレーが採用されるまで、地理開拓局のコマンド部隊(第77群・第31群)色・徽章ともに空挺部隊と同じベレーを着用していたことになります。


・3rd: 星・落下傘・稲穂(1963-1964?)

上の黒ベレーと同じく、1963年3月に地理開拓局がLLĐBへと改編された際に導入されたと思われる、LLĐBとして最初の部隊徽章です。
この徽章はLLĐBのシンボルとして、特殊部隊キャンプの正門にあしらわれている例もあります。
ただしこちらも黒ベレーと同じく、クーデター後の1964年後半には廃止されます。(ただし一部で引き続き着用例あり)


▲カントー特殊部隊キャンプ[1963年]


・4th: 丸形/落下傘と翼(1964?-1975)

ジェム政権/タン大佐期のベレー廃止に伴い、1964年頃に新たに導入されたのが丸形のベレー章です。
こちらは暗緑色ベレーと共に、以後終戦まで長きに渡って着用されました。

また、刺繍のデザイン自体は丸形と同じものの、土台が空挺部隊のようにチューリップ型になっている物も存在しており、こちらは導入初期の短い期間のみ用いられた模様です。


まとめ


1964年はLLĐBの組織が切り替わる時期なので、ベレーも色・徽章ともに新旧入り混じっておりカオスです。
特に4thの丸形ベレー章の導入は濃緑色ベレーよりも早かったらしく、当時の写真やコレクター所有品では、旧式の赤や黒のベレーに新型の丸型ベレー章を付けている例(おそらく全て1964年中)がいくつか見られます。

▲Wade Krawczyk氏コレクション

▲Chuon Chuon Xanh氏コレクション


ちなみに先日の記事『黒ベレー』に載せたこちらのレプリカベレーは、タン大佐期に導入され、1963年の仏教徒危機においてLLĐBが国内の寺院などを襲撃した際に着用していたLLĐBの歴史の中でも一番評判が悪い時期の組み合わせになります。

  


2022年01月17日

トンプソンのスリングベルト

先日、久しぶりにビクトリーショウに足を運びました。
僕はまだ手持ちのマルイ製電動ガンM1A1『トンプソン』SMGに取り付けるスリングベルトを持っていなかったので、米軍M3スリング、 通称「Kerr Sling (カースリング)」を探したところ、メーカー不明のレプリカを安く買う事が出来ました。
そして家に帰ってさっそくこれを銃に取り付けようとしたのですが、カースリングというものを触るのは今回が初めてだったので、普通のスリングベルトとは構造が違い過ぎていて、どうやって取り付けたらいいか全然分かりませんでした。
なのでインターネットで取り付け方を検索。Youtubeに、本来のカースリングの取り付け方をレクチャーしてくれる動画がありました。



しかしメーカーが意図した上の取り付け方は必ずしも現場の兵士のニーズに合ったものではなかったらしく、米軍では実際にはそれ以外にも以下のように、現場で考案された様々な取り付け方が存在したと説明している人も居ました。

MP40's Modelguns Forum: https://mp40modelguns.forumotion.net/t140-how-to-fit-thompson-kerr-type-sling


こうして調べてみたら逆にどれが正解か分からなくなってきたので、僕のトンプソンの使用目的である、ベトナム軍における装着例を改めて見直すことにしました。
スリング部分が鮮明に映っている写真が少ない中で、比較的はっきり見える写真の一つが、こちらの陸軍ドゥックミー・レンジャー訓練センターで撮影されたもの(1961年7月撮影)。


これまた、上の米軍の例とは違う取り付け方。
なんと、片方のフックに、銃側のスイベルとスリング側のリングを一まとめにくっつけています。
これを再現すると、こんな感じ。



また下の海兵隊の写真(1962年撮影)でも、片方のスイベルにフックとリングを同時に留める方式は上のレンジャーの例と同じです。(前後は反対)



なお、レンジャーの例ではもう片方(ストック側)がどうなっているかは見えませんが、海兵隊の例ではもう片方(ハンドガード側)スイベルにはそのままフックのみ装着されています。
なのでおそらくレンジャーの例も下の写真のように、もう片方はフックのみ装着だと思われます。

▲レンジャーの例の再現。海兵隊の例はこれの前後反対

この取り付け方法ではスリングの長さを調整することはできず固定となりますが、少なくとも今回挙げたベトナム軍の2例では、実用上は固定長で問題ないと考えられていたのかも知れませんね。  


2022年01月16日

黒ベレー

黒ベレーは一つあると、徽章を付け替えるだけでいろんな設定で使えるので便利ですよという写真を撮りました。
なお徽章は全てレプリカで、ベレー本体はベトナム軍レプリカですらない謎の安物(英米式)を仏式に改造したものです。
でも安物の方が、徽章を付け替えるたびに穴=破損を増やす事になっても気にならないので、コスプレ的には使い勝手が良いのです。


先日載せた第1歩兵師団黒豹中隊

陸軍一般兵科および儀仗隊将校(1967-1975)
陸軍一般兵科将校ベレーは通常オリーブ色に金色徽章で、兵下士官用は黒ベレーに銀色徽章ですが、稀に将校でも黒ベレー(金色徽章)を着用している場合があります。また儀仗隊では将校も全員黒ベレーを着用します。

海軍帆船隊(ジャンクフォース)
※ジャンク=中国式帆船という部隊名ですが、さすがに実際に載るのはエンジン付きの小型木造船舶で、沿岸部で共産ゲリラの物資を輸送する漁船や輸送船を取り締まる海上警備部隊でした。

国家警察
写真の徽章はベレー章ではなく制帽用の帽章ですが、ベレーに制帽用を付けている例もちょいちょい見られます。

特殊部隊(1963-1964)
特殊部隊(LLĐB)は発足(当時の部隊名は第1観測隊)から1964年の再編まで主に赤いベレー帽を着用し、また1963-1964年にかけては黒も着用しました。そしてその後1964-1965年頃に、よく知られるダークグリーン色のベレー帽に切り替わります。

PRU(省探察隊)
PRUでは省ごとに独自のベレー章なども制定されていましたが、写真の『剣と翼』の徽章は全国的にメジャーなものなので、これを付けておけばだいたいOKだと思います。
  


2022年01月13日

フォクフン製ヒュエット

※2022年1月14日更新
2023年3月18日更新

昨年8月に予約したフォクフン(オーストラリア)製のベトナム陸軍ヒュエット/ブラッドケーキ迷彩服が紆余曲折を経て先日ついに到着しました。
通常売価650米ドル(僕が買ったときはセールで550ドル)とかなり強気なお値段ですが、サンプル写真の段階でかなり出来が良いのは分かったし、ずっと普通の裁断(大ポケット)ヒュエットが欲しいと思っていたので、ちょっと背伸びして買ってしまいました。
(ヒュエット/ブラッドケーキ迷彩服については過去記事『ブラッドケーキ/ブラッシュ迷彩』参照)


空挺部隊の徽章を縫い付け、1964~1967年頃の仕様にしました。胸ポケットを潰さないよう、一度ポケットを外してから胸章(天使の翼章)を縫い付けました。
さすが高級レプリカだけあって、生地、迷彩はパーフェクト。

落下傘降下の際に空気の侵入を防ぐガスフラップもちゃんと再現されています。

ただし肩当ては、背中側には無いのが一般的だったようです。(自爆工兵様から貴重な情報を頂きました。)


良いものを入手出来てテンション上がったので、部屋の中で自撮りしました。


ライフルは昨年作ったJAC製M16A1改造のAR-15(モデル601)です。


これまで使っていたパンツァーファウスト(香港)製との比較

▼パンツァーファウスト製

ベース生地の色がかなり明るい。それになぜかテーラー改造ジッパーポケット仕様のみ発売され、通常の官給(大ポケット)型は無かった。


▼フォクフン製






おまけ:空挺型上衣

今回フォクフンが再現した官給ヒュエット迷彩服上衣の裁断の事を、僕は『空挺型』と呼んでいます。
この空挺型はヒュエット迷彩服の裁断として1961年頃に採用されたもので、落下傘降下の際に空気の侵入を防ぐため前合わせが隠しボタンとガスフラップで二重に閉じられるようになっており、さらにポケットも隠しボタンの大きなものを備えていました。

また1965年頃に米軍1948年型ERDL迷彩(通称インビジブル)がベトナム軍で採用されると、このインビジブル迷彩服もその多くが空挺型の裁断で生産されました。
ただしヒュエット迷彩が落下傘降下を行う空挺部隊および特殊部隊にしか支給されなかったのに対し、空挺型インビジブル迷彩服は空挺・特殊部隊に加えて、落下傘降下を行わないレンジャー部隊や海兵隊にも支給されました。

空挺型インビジブル迷彩服を使用するレンジャー部隊(1966年)


  


2022年01月10日

インシグニア縫い付け

祝日の今日、予定していた事が急にキャンセルに。暇を持て余した僕がやる事と言えば、やっぱり軍服いじり。


黒豹中隊

フォクフン製レプリカその2、ベトナム陸軍第1歩兵師団『黒豹中隊(Đại Ðội Hắc Báo)』のベレー章とパッチを手持ちのベレーと迷彩服に取り付け。

▲ベレーはずいぶん昔から家にある裏地無しの謎のベレー

▲服は実物生地を再縫製したベトナム製リプロです。


長年、黒豹中隊のベレー章は、その存在は知られていたものの鮮明な画像が出回っておらず、(少なくとも僕の周りでは)詳細は謎に包まれていました。
ところが2019年に当時の鮮明な写真や、コレクター所有の実物の画像が広く知られるようになり、その翌年にはフォクフンがレプリカを発売するという驚くべき早さの展開がありました。



▲1971年のラムソン719作戦に際しラオス領内に出撃する黒豹中隊



②第1偵察中隊

次のイベントで着る予定の第1歩兵師団第1偵察中隊(Đại Ðội 1 Trinh Sát)の服も作り直しました。
(以前にも作ったけど、そのあと徽章を別の設定に付け替えていた)

▲服はヒューストン製TCUをベトナム軍2ポケット風に改造したものです。



▲1971年のラムソン719作戦に際しラオス領内に出撃する第1偵察中隊

黒豹中隊と第1偵察中隊はどちらも第1歩兵師団本部直属の精鋭部隊なので、よくベトナム人の間でも混同されますが、その役割は異なっています。
黒豹中隊はレンジャー部隊のような軽歩兵/コマンド部隊であり、まとまった戦力でヘリボーン強襲などを行います。
一方、第1偵察中隊はその名の通り、米軍LRRPに倣った偵察専門部隊であり、10名に満たないチーム単位で活動します。(過去記事『偵察中隊/ベトナム軍LRRP』参照)




③レンジャー部隊

これまでレンジャー部隊の設定で使う服は、上のヒューストン改やドラゴン製など移り変わってきましたが、このEA製で最後にしたいと思います。

  


2022年01月09日

コルト45ガンベルト

今日、オーストラリアのベトナム共和国軍専門レプリカメーカーフォクフン(Phuoc Hung)に注文していた品物が届きました。




その中の一つが、コルト45(M1911ピストル)用ウェスタン・ガンベルト。
このガンベルトはこれまで複数のメーカーからレプリカが販売されていましたが、その度に(優先度は低めのアイテムなため)買い逃していたので、今回ようやく入手することが出来ました。




やっぱ弾がむき出しで挿してあるとカッチョえぇ~!

しかし元祖コルト45のシングルアクションアーミーなら、カートリッジを一発ずつシリンダーに装填するので、このようにカートリッジを直接ベルトに挿して携帯する事に実用性があったでしょうが、M1911の場合はまずカートリッジをマガジンに入れる必要があるので、ベルトに挿している弾は完全に飾りですね。

なお上で「優先度は低め」と書いたように、このガンベルトは軍の正式な装備品ではなく、民間で販売されている物を将兵が個人的に購入したオシャレアイテムでした。

このような皮革製品屋や露店で売られていたようです。戦時中なので軍・警察向けのホルスターやナイフシースがたくさん売られています。

こうした民間製ホルスター/ガンベルトの中でも、特にウェスタンスタイルのガンベルトはM1911用および各種リボルバー用ともに、空軍での使用例が多く見られるタイプになります。
これはおそらく、陸軍や海兵隊では拳銃を携帯するのは限られた高級将校のみだったのに対し、空軍では航空機搭乗員全体が不時着時の自衛用として拳銃を携帯する事が多かった事、またカートリッジによる光の反射や泥汚れに気を使う必要が無かったためと思われます。

▲空軍H-34ヘリコプターのクルー。リボルバー用ウェスタン・ガンベルトを着用している。


▲式典に臨む空軍の高級将校たち。4人中3人がウェスタン・ガンベルトを着用している。
  


2022年01月06日

銀色ガスシリンダー

以前から気になっていたのですが、第2次大戦からベトナム戦争期の写真を見ていると、ガスシリンダー部分だけが銀色に輝いているM1ガーランド小銃を時々見かけます。

▲第2次大戦期のアメリカ陸軍および海兵隊

▲ベトナム戦争期のベトナム共和国軍

▲こちらのラオス王国軍のポスターでは、M1小銃のガスシリンダー部分がわざわざ銀色に塗り分けて描かれています。


これはいったい何なんだろうと思ってネットを検索してみたら、掲示板にその答えらしき書き込みがいくつかありました。

書き込みによると、M1小銃のガスシリンダーアッセンブリーはステンレス鋼でできており、その表面は他の鋼鉄製パーツのようなパーカライジング処理/リン酸塩被膜ではなく、耐熱性エナメル塗料によって黒く塗装されているだけでした。しかし当時の塗料は性能が良くなかったため次第に塗装が剥がれ、ステンレスの下地が丸見えになっている個体が数多く存在するそうです。

▲コレクター所有のビンテージM1小銃

なお全てのビンテージM1小銃が同じような状態になっているわけではなく、ちゃんと黒いままの物も多く存在しているので、生産時期やメーカーによって塗料や表面処理が異なっていたのかもしれません。


とまぁ、謎が解けたところで、こんなの簡単に再現できそうなので、さっそく手元のマルシン製ガスガンを分解。
ガスシリンダーアッセンブリーをMr.メタルカラーのステンレスで塗装しました。



組んでみると、まぁカッコいい!


組みなおす際にガスシリンダーを手で触ったらステンレス塗装が剥がれて黒い下地が出てきてしまいましたが、それがむしろ、自然に塗装が剥がれたリアルな感じになってくれました。(本来は黒塗料が剥がれてステンレス地が出てくるので逆ですが)

あとは、このガスガンのいじるポイントとして、ストックの色にちょっと不満があるので、オイルステインで塗りなおそうと思います。
オイルステインの場合、まず全体をペーパー掛けして今の塗装を全部落とす必要があるそうなので、けっこうな手間暇がかかりそう。
いずれやる気が出たら(あるいは辛抱たまらなくなったら)やろうと思います。
  


2022年01月02日

レプリカ海兵ベレー

※2022年1月8日更新
※2024年2月24日更新

先月アメリカのショップに注文していた3ピースベレーとベトナム海兵隊ベレー章のレプリカが年末に届いたのですが、それぞれ気に入らない部分があるので手直ししました。

まずはベレー章。1956年~1966年まで使われた、兵および下級下士官(二等兵~一等下士)用です。
(ベレー章の変遷については過去記事『ベトナム海兵隊のインシグニアについて:ベレー』参照)


しかしこのレプリカ、八角形なのはまだ許せるにしても、刺繍の中心がずれていやがる。
モール刺繍部分が良くできているだけに勿体ないです。


なので一旦バラして中の八角形の芯を外し、中心が合うように新しい円形の芯を入れて接着しました。


次にベレー本体ですが、こちらは1950年代から1960年代前半に多く用いられた3ピース構造で、全体的な雰囲気はとても良いのですが、なぜかサイズを絞るリボンが付いていません。


仕方ないので針金を曲げて作った紐通しで、スエットバンドの中にリボンを通しました。

こうして海兵ベレーが完成。


当時の着用例




おまけ:最近見つけたスタイリッシュ海兵

①いろいろと変

▲年代不詳なものの、階級章は1967年以降のタイプ

本来左袖に付ける海兵隊の部隊章(SSI)をベレーに付けてる中佐。しかもベレーは通常とは逆の左立て(英米式)。
さらに本来右胸ポケットに付けるはずの海兵隊胸章(1966年タイプ)も左胸という規定ガン無視状態。
さすが中佐ともなると叱る人が居ないのでやりたい放題といったところでしょうか。


②イキるとはこういう事

▲年代不詳なものの、徽章・ネームテープから1971年頃と推定

情報過多なので箇条書きにします。
・ベレー章は非公式な小型の金属製バッジ
・ベレー章の下に下士(伍長)の布製階級章。襟用か?
・ネームテープはベトナム語をフォネティックコード表記したもの(SƠN→SOWN)
・名前の後ろに大隊中隊番号の「3」(非公式だが稀に使用例あり)
・迷彩服はテーラーで大幅に改造された2ボタンポケット+ジッパーポケット

もうこれ以上のオシャレ海兵は見つからないと思います。
もしこれが現代の軍装コスプレだったら、僕は「こんなやり過ぎの改造軍服ありえない」と非難するでしょう。
それくらい、一枚の中にいろんな要素が濃縮されている写真でした。
  


2021年12月18日

TTA47

先日フランス人が売りに出していた中古のフランス軍迷彩服のレプリカが、長い旅を終えて今日我が家に届きました。
TAP(リザード)迷彩のTTA47戦闘服です。メーカータグはありませんが、おそらく香港のパンツァーファウスト製のようです。恥ずかしながら、今回この中古を買うまで、こういったレプリカが存在したことを知りませんでした。




TTA(Traité toutes armes=一般兵科)という名前の通り、基本的にはTTA47は一般部隊向けのカーキ単色生地で作られました。
一方、空挺部隊用のTAP47降下服は落下傘降下専用の被服なので、降りた後の行動や生活には不便だったようで、結局空挺部隊でも軽便なTTA47の需要が高まり、空挺部隊(TAP)用のリザード迷彩生地を使ったTTA47が第一次インドシナ戦争末期の1954年ごろに誕生します。
このTAP迷彩TTA47はその後も迷彩パターンの変化を伴いながらアルジェリア戦争まで使われましたが、今回入手したレプリカは、その中でも初期の第一次インドシナ戦争期のパターンを(少なくとも雰囲気は)再現したものです。
そしてこの服はフランス軍のみならず、フランス軍の傘下で発足したベトナム国軍の空挺大隊(BPVN)にも支給されており、その後も1960年代初頭までベトナム共和国軍の空挺部隊で着用されていました。

▲ベトナム国軍陸軍第5空挺大隊 [1954年7月, ハノイ]

▲ベトナム共和国軍陸軍空挺旅団[1961年8月, モクホア]



TTA47について

フランス軍の戦闘服はファッション業界でも人気なので、ファッション業界ではよく『M47』という名称が使われますが、フランス軍には『Mle(モデル)47』という名前の戦闘服が色々あるので、一口にM47/Mle47と言ってしまっては、どれの事かわからないのです。
なのでフランス軍ファンの間では、Mle47と称される各種戦闘服はまず、服の形状によって一般兵科(TTA)と空挺部隊(TAP)用の2種類に大別され、それぞれ『TTA47』、『TAP47』という通称が付けられています。
またさらにTTA47の上衣には、基本(4ポケット)の『一般型(modèle général)』と、熱帯地域向け(2ポケット)の軽量型(modèle allégé)』の2種類があります。
その上で、1952年には一般型・軽量型上衣ともにデザインの改良がおこなわれ、それぞれ『TTA47/52』と呼ばれています。
今回僕が入手したリザード迷彩TTA47の上衣は、この中のTTA47/52軽量型のカットです。


なお下衣に一般・軽量の区別はなく共通です。
また下衣は上衣とは別のタイミングで改良が行われており、初代の『TTA47』、1950年改良の『TTA47/50』、1953年改良の『TTA47/53』と三種類に大別されています。

▲TTA47下衣(まだ全種類イラスト化してないけど、違いと言えばウエストのボタンが隠れてるか露出か、およびその数くらいで、全体のデザインは変わりません。)


一応、うちに実物のTTA47(カーキ)があるので、写真を載せておきます。

▲TTA47一般型上衣

▲TTA47/52軽量型上衣

▲TTA47下衣


おまけ

12月12日にオープンしたラーメン二郎ひたちなか店に、オープンから5日遅れで行ってきました。


午前8:20に整理券をもらい、12:20に入店。
4時間待ちは今までで一番長いけど、整理券制のためマンガ喫茶で時間潰せたので苦にはなりませんでした。

 


麵量も豚の量もすごいなぁ。
美味しゅうございました。